- 2016-10-31
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3Mの3Dプリンタープラットフォーム用シート3099ABを試してみた!
先日ご紹介したスリーエム・ジャパン株式会社(以下:3M)の3Dプリンタ用プラットフォームシート『3M™ 3Dプリンタープラットフォームシート 3099AB』は、3Dプリンタのプラットフォーム(造形台)に貼り、ABSやPLA樹脂造型物の造形精度を向上させるために開発された特殊表面加工の国産プラットフォーム用シートです。
このシートを利用することで、サイズの大きな造形物もきれいにプリントでき、造形後の底面はツルツルの鏡面仕上げで研磨が不要となる製品です。
3Dプリント時には樹脂をシッカリと固定し、3Dプリント後、プレートが冷えれば造形物を簡単にはがすことができるという優れた性能を有しています。
PLAとABSで3099ABを検証
今回は3099ABの性能を検証するため、3種類のフィラメントを使用してみました。
- 検証用プリンター:MOMENT S
- 検証用フィラメント:Polymaker PolyPlus PLA、FormFutura EasyWood バーチ、Plasil ABS
先ずはスキージなどを使い、粘着面に空気が入らないよう丁寧に造形台にシートを貼り付けます。空気が入ってしまうと造形物底面に気泡跡が残る場合があるので、空気が入ってしまった場合は貼り直しを行い、出来るかぎりフラットに設置します。
造形台へシートの貼り付けが済んだら、表面にある保護フィルムを剥がします。
これで準備完了、後は通常通りの手続きで3Dプリントを実行します。
PLA素材で検証
どんなタイプの3Dプリンタでも安定した造形が可能な高性能PLAフィラメント「Polymaker PolyPlus PLA」を使用しテストを実施。
スライサの設定内容はフィラメント推奨値のままですが、ノズル高さ(プリント開始位置)はフィルム厚に合わせて微調整しプリントしています。
シートへの食いつきは良く、プリント中もズレや反りなく安定した造形が出来ています。
プリント後にプラットフォームが冷めたら造形物を取り外しますが、今回の造型物は平面が大きかったためか思った以上にシートへの食いつきが強く、スクレーパーを使ってもなかなか剥がれませんでした。
シート厚に合わせたノズル位置は調整済みですが、この辺りはもう少し調整が必要のようです。
同じPLA系素材として、木質系フィラメント『EasyWood バーチ』を使って造形してみましたが、こちらはPolyPlusよりも更にシートへの食いつきが強く、スクレーパーを使っても上手く剥がすことができませんでした。
糸引き現象も発生してしまったので、もう少しスライサの設定内容を見直さないとダメかもしれません。
ABS素材で検証
続いて、ABS素材を使って検証を行ってみました。
ABS素材には、熱収縮による反りなどが発生しにくい高性能ABSフィラメント『Plasil ABS』を使用。
PLA同様スライサの設定値はフィラメント推奨値のままですが、シートへの定着が良く、安定した造形が出来ています。
PLA素材同様、プラットフォームが十分に冷めてから造形物を取り外します。
PLA系素材ではシートからキレイに剥がれないことがありましたが、ABS素材では簡単にシートから取り外すことができました。
取りだした造形物の底面(シート設置面)は滑らかで、とてもキレイに仕上がっています。
同じプラットフォームシート「BuildTak」やマスキングテープ使用時と比較すると、かなり綺麗な状態です。
シートへの食いつきが良く反りやズレが無いため、造形精度も向上した?ように感じられます。
まとめ
PLA素材ではスライサの設定が甘かったためか期待した結果を得られませんでしたが、ABS素材ではかなり良い結果を得ることができました。ABS素材の定着性の低さに困っているユーザーにはかなり使い勝手の良い商品かもしれません。
※使用時には、シート厚に合わせたノズル先端とプリント面のクリアランス調整を忘れずに。
3M™ 3Dプリンタープラットフォームシート 3099ABは3枚入り2千円弱の商品ですが、同じ場所でも複数回プリントすることができるため、プラットフォームへの定着不足で造形エラーを繰り返しロスする材料コストを考えると、かなりコストパフォーマンスの高い商品かもしれません。
商品仕様
- アイテム重量:50g
- 商品入数:3枚
- 型番:3099AB-3 KF
- 対応樹脂:ABS・PLA
- サイズ:210mm x180mm
- 製造国:日本
- 材質:ポリエステルフィルム
- 色:透明
この後、ABS以外にもプラットフォームへの定着性が低い素材を幾つか利用し、実機検証を行ってみる予定です。
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