UCデイビスの研究チーム、DSP技術で人体内部3Dプリンティングを目指す
米国の州立大学 University of California(カリフォルニア大学デービス校)の研究チームは、外科的手術を必要とせず、直接人体内部で3Dプリントする革新的な3Dプリンティング技術「ダイレクトサウンドプリンティング(DSP)」を活用し、体内でインプラントやスキャフォールド(足場となる構造体)を生成する新たな方法を提案。この提案は、2024年の「全米科学財団製造ブルースカイコンペティション」において、デビッド・ドーンフェルド製造ビジョン賞を受賞し、大きな注目を集めている。
体内での3Dプリンティング技術「Direct Sound Printing(DSP)」
従来の3Dプリンティング技術は、光や熱を利用してポリマーなどの材料を固化させるが、チームを率いるハビビ助教授が2018年に発見したこの技術は、ポリマー溶液を超音波で照射し、体内の物理的障壁を越えて材料を目的の形に形成する。この方法は、体内深部でのプリントを可能にし、患者にとって負担の少ない治療法を提供する道を開くものと考えられている。
音波が物理的障壁の背後からポリマー溶液を固体化する様子
人体内部3Dプリントの可能性
従来の外科手術では、インプラントの設置や修復に伴う侵襲的な手術が必要とされていたが、DSP技術を応用し、体内で直接インプラントやスキャフォールド(組織工学や再生医療において、細胞が増殖し、組織や臓器を形成するための足場となる構造体)を生成するこの新しいアプローチを用いることで、外科手術の必要性を大幅に減らすことが期待されている。
2022年にネイチャー誌に発表された論文では、3Dプリントされた高分子物質形状として、カエデの葉、ハニカム、歯車などが含まれており、ハビビ氏は組織ファントム(人間の体の一部を模した人工モデル)と実際のブタの皮膚、脂肪、筋肉を使用して、耳や鼻の形状をプリントすることに成功している。
DSPによる体内での3Dプリンティング技術は、医療分野において大きな変革をもたらす可能性を秘めており、研究チームはこの技術をさらに発展させ、より安全で効果的な治療法を実現することを目指している。
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