3Dプリント造形部品を月面で試験

Stratasys、月面で3Dプリンタで造形された部品の材料性能を試験へ

樹脂系3Dプリンタと積層造形ソリューションの先進的企業である Stratasys(以下 ストラタシス)は、3Dプリンタで造形された部品を今後の月ミッションに提供し、月面で材料性能を試験すると発表した。この実験は、イージス・エアロスペースの最初の宇宙科学技術評価施設ミッション(SSTEF-1)の一つとして実施される。

放射線遮蔽試験用サンプルを収納したFDM Antero 840CN03放射線実験用ハウジング

SSTEFは、NASAのティッピング・ポイント・プログラムの下でテキサス州ヒューストンのイージス・エアロスペースによって開発された商業的な宇宙試験サービスで、月面の研究開発サービスを提供する。SSTEF-1プロジェクトは、月と地球近傍の宇宙インフラと機能の技術開発に重点を置いており、ストラタシスの実験は、ノースロップ・グラマンがスポンサーとなっている。

Antero 840CN03材料で作られた放射線実験用ハウジング

この月ミッションでは、ストラタシスが造形したサンプルを提供し、ストラタシスが造形したキャリア構造で、無人着陸船によって月面に運ばれる。ノースロップ・グラマンが主導する2つの異なる実験では、3つの材料が焦点となる。
最初の実験では、タングステンを充填したストラタシスの「Antero 800NA」FDMフィラメントで製作した試験部品の性能を評価。Antero 800NAは、優れた機械的特性、耐薬品性、低アウトガス特性を備えたPEKKベースの高性能熱可塑性樹脂で、タングステンの添加は、ガンマ線やX線などの有害放射線に対する遮蔽を目的としている。
2つ目の実験は、3D造形物の材料が宇宙空間でどのような性能を発揮するかを確認するためのもので、「Antero 840CN03」FDMフィラメントを使用する。このフィラメントは、電子機器に使用するためのESD特性を備えており、オリオン宇宙船で使用された。この実験には、ストラタシスのパートナーであるHenkelがストラタシスの「Origin One」3Dプリンタで使用するために製造し、高熱環境用に設計された新しいESDフォトポリマーも含まれる。この実験では、3Dプリンタ材料の試験部品を月の塵、アウトガスの原因となる低圧、月の大気がほとんどないことから生じる急激な温度変化にさらすという。

ストラタシス最高産業事業責任者のRich Garrity氏は、つぎのように述べている「アディティブ・マニュファクチャリングは、重量が重要で、高性能が不可欠な宇宙ミッションにとって重要な技術です。この一連の実験は、3D造形をフルに活用し、月やその先を旅する人々や機器の安全を確保する方法を理解するのに役立ちます」
これらの部品は、民間航空機の内装にもよく使用されるストラタシスの「ULTEM 9085」熱可塑性樹脂で造形されたキャリア構造で、無人着陸船によって月面に運ばれる。


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