米国カリフォルニア州、3Dプリンターによる違法銃製造を防ぐ新法案を上院へ
米国のカリフォルニア州議会は、3Dプリンターを使った違法銃器の製造を防ぐ目的で、「AB 2047」法案(カリフォルニア州銃器印刷防止法)を下院で可決した。3Dプリント技術の普及が進むなか、安全対策とものづくりの自由をどう両立するかが、米国で大きな論点となっている。

「AB 2047」法案は、州内で販売・譲渡される3Dプリンターに対し、銃器や違法部品の設計データを印刷前に検知し、必要に応じて出力を止める仕組みを求める内容であり、カリフォルニア州司法省などの関係機関が、既知の銃器設計ファイルや検知アルゴリズムを調査し、2028年1月1日までに性能基準を公開するとしている。さらに、3Dプリンターメーカーは2028年7月1日までに、対象機種ごとに検知機能や制御機能を備えていることを申告する必要がある。2029年3月1日以降は、基準を満たさない3Dプリンターの販売や譲渡が禁止される可能性がある。

この仕組みは、印刷前のデータ確認を義務づけるもので、利用者がSTLファイルやCADデータを読み込ませた際、ソフトウェアやファームウェアがその形状を確認し、銃器や違法部品に該当する可能性がある場合は印刷を止める。
一方で、この法案には技術的な課題も多い。3Dプリント技術で作られる部品は、用途が異なっても形状が似ることがある。銃器部品に似た形の部品が、実際には工具、ヒンジ、模型、研究用治具などに使われる場合もあるため、形だけで目的を正確に判断することは難しい。誤って安全なデータを止める誤検知や、危険なデータを見逃す検知漏れを完全になくすことは現実的ではない。
また、オープンソース型の3Dプリンターや、サードパーティ製スライサーを利用するユーザーにも影響が出る可能性がある。法案では、メーカー独自のソフトウェアを通じて印刷データを管理する方式も想定されているため、自由にソフトウェアやファームウェアを選べる環境が制限されるおそれがあり、教育機関、図書館、メイカースペース、小規模メーカーにとっては、導入コストや運用負担が増える可能性もある。

今後の焦点は、規制の実効性と技術の自由度をどう両立するかであり、過度な制限は、3Dプリンター市場の成長や研究開発、教育利用を妨げる可能性がある。一方で、違法銃器の拡散を防ぐ社会的要請も無視できない。カリフォルニア州の法案は、3Dプリント技術が社会インフラとして広がるなかで、技術革新と安全管理のバランスを問う重要な事例となっている。
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