木質3Dプリントを用いて資源を循環させる生産システム『Regenerative Wood』を構築
三菱地所設計は、同社デザインスタジオおよび木質建築ラボにて、建築や家具のデザインから施工までに至る、木質3Dプリントを用いた生産システム「Regenerative Wood(リジェネラティブ・ウッド)」(以下 本システム)を構築し、そのプロトタイプと位置付けた、世界初の木質3Dプリント建築物「TSUGINOTE TEA HOUSE」を、同社本店総合受付に展示した。
三菱地所設計本店における展示の様子
建築工事における環境負荷の低減や工期短縮に関する検討がさまざまな観点から進む今日、新たな建築生産の手法として注目が集まる3Dプリント技術。本システムは、フィラメント(3Dプリンターで建築部材を出力する際に材料となる成形用の樹脂素材)に、木の製材加工時に生じる木粉を用いることで、廃棄物をリジェネラティブ(再生可能)な素材とする、資源循環の試みとなる。
本システムにおける木質3Dプリント建築物のフロー
あらゆる木材加工の工程で廃材として生じる木粉を原料に、3Dプリントの安定性を確保した独自の木質3Dプリント材料を製造。プロジェクト現場付近の木を用いて原料を輸送する際に生じるCO2排出を抑制したり、3Dプリント時に出力部材の小材化を図ることで一般の物流に載せ、人の手で組み立てられるようにするなど、生産フロー全体での環境配慮を図っている。
Regenerative Wood のふたつのプロトタイプ
「Regenerative Wood」の考え方と技術を実証するプロトタイプとして、世界初の木質3Dプリント建築物「TSUGINOTE TEA HOUSE」と、このシステムで製作したカウンター・パーテション「Regenerative Wood #1」を展開。「Good Design Marunouchi企画展 TOKYO WOOD TOWN 2040 山と木と東京」に展示した。うち、「TSUGINOTE TEA HOUSE」は、ジャパン・ハウス(ブラジル・サンパウロ市)で開催された「NIHONCHA展」(2023年12月~24年4月)と、上記「TOKYO WOOD TOWN 2040」を経て、同社本店での展示に至っている。小規模な軽量パーツに分割・輸送し、少人数で組み立てられることから、稼働中の当社総合受付にて、社員4名の手作業で、約2時間程度で施工された。高さ約1.9m、奥行約1.7mの三次元曲面からなり、高精度の継手仕口により、金物の使用を不要としている。
カウンター・パーテション「Regenerative Wood #1」
独自の「木質3Dプリント素材」の製造コラボ第1号として
MEC Industry社と協業
2種のプロトタイプのうち「Regenerative Wood #1」のフィラメントの製造にあたっては、同社が技術協力などを行っている、MEC Industry(三菱地所グループ)より木粉の提供を受けている。製材等の際に発生してしまう木粉を無駄にしない、ゼロ・ウェイスト(Zero Waste/ゴミをゼロにする目標のもと、廃棄物量を削減していくこと)への試みとなっている。
三菱地所設計は、自社が取り組んでいる建築や都市環境の木造・木質化の過程において生じる廃棄物を減らしていくためのシステム「Regenerative Wood」を通して、このネットワークを強化し、より一層の木材利用を推進するとしている。
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