空気中の水分から安全な飲料水を生成する3Dプリントボトル

プロジェクトAqueroは3Dプリントされた筐体を利用し空気中の水分から飲料水を生成

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豊富な水資源を誇る日本や先進国において、安全な飲み水を手にすることは容易なことですが、ひとたび世界に目を向けると、いまだ7億5000万人(ユニセフ発表値)の人々が、清潔で安全な水を飲むことが出来ず、毎年50万人以上の子供達が不衛生な水による下痢などの病気で命を落としています。こんな状況を少しでも改善し、安全な飲み水を供給するための取組みとして起動した「プロジェクトAquero」

3Dプリンタで造形された世界初の自己充填性水筒の筐体には、小型のファンとヒートシンクが設置されており、暖かく湿った空気を内部に取り込み、急激な温度変化で生じた水滴を集め、毎時50ml(80%相対湿度及び24℃の標準条件下)の飲み水を得ることができるシステムです。

筐体のほとんどを3Dプリンタで造形できるため、安価な義手と同様に、特殊な材料や機器を必要とせず、低価格で組み上げることができます。現在のプロトタイプでは、通常電源からの電力供給を必要としていますが、今後開発予定のモデルでは、太陽電池パネルからの電力供給によってファンの回転を行う予定で、生成される水の安全性をより高めるため、カーボンフィルターによる濾過の他、太陽光や低電力UV電球を用いた殺菌処理などにも対応するそうです。当然、既存の樹脂系素材では筐体自体の衛生面にも問題があるため、この仕組みに適した材料の研究開発を進める必要もありそうです。

Project Aquero3Project-Aquero1

この小さな筐体で集められる水の量には物理的にも限界がありますが、筐体設計に改良を加え、より安価で手軽に生産できるようになれば、供給量増加の可能性は増してくるかもしれません。
このデバイスは、単に途上国への供給だけに留まらず、救命ボートへの搭載や災害救助などにも応用させるための研究も進めているようです。
尚、同プロジェクトはクラウドファンディングへのスタートアップを計画しているそうなので、今後の動向を改めてお伝えしようと思います。

 

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