米最高裁、3Dプリント銃に新規制

米最高裁が3Dプリント銃部品の規制強化、3Dプリント銃部品を実銃と同様に規制する判断

3Dプリント技術によって製造される「ghost guns(自作銃)」が、ついに米国連邦法で規制対象となった。2025年3月26日、アメリカ連邦最高裁判所は、3Dプリント銃部品を含む自作銃キットに対し、実銃と同様の規制を適用できるとする判断を下した。この決定は、バイデン政権下で制定された「ゴーストガン規制ルール」に対する法的挑戦を退けたものであり、3Dプリント技術の発展に伴う新たな法整備の大きな節目となる。

今回の判決は、「Bondi v. VanDerStok,」事件として知られる訴訟において下されたもので、この訴訟では、銃所有者や銃権利団体が、アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局(ATF)の新ルールが過剰規制であるとして争った。しかし連邦最高裁は、ゴーストガン規制が合法であり、3Dプリンタで製造された銃部品にも実銃同様の規制を課すことが適切であると認定した。
具体的には、3Dプリンタで製造されたフレームやレシーバー、ピストルグリップ、トリガーアセンブリなど、銃として機能し得る部品について、以下の要件が連邦レベルで義務付けられる。

  • 製造番号(シリアルナンバー)の刻印
  • 購入者に対する身元確認(バックグラウンドチェック)
  • 販売業者のライセンス取得

ニュージャージー州警察はBambu Labを使用して3Dプリントテスト

これまで、3Dプリント技術を用いた銃部品は、部品単体では未完成品と見なされ法規制の対象外であったが、技術の進化により誰でも簡単に銃部品を自宅で製造できるようになったことで、未登録・追跡不能な銃器の流通が社会問題化していた。
特に2024年には、3Dプリント銃に関連した逮捕件数が世界で64件以上に上り、2013年以降の累計は342件に達した。特に米国とカナダでの急増が顕著で、米国では2024年半ばまでに126件、カナダでは2023年の82件から2024年半ばには107件に増加した。

交通違反の取締り中に発見した3Dプリント銃

今回の最高裁判決により、3Dプリント銃部品の取り扱いは大きく変わり、3Dプリント技術を活用して銃部品を製造・販売・購入するすべての個人・企業・団体は、従来の銃器と同様に連邦法の規制を受けることとなる。この決定は、3Dプリント技術の進化がもたらした新たな社会的リスクに対し、法整備が追いついた歴史的瞬間であり、今後、同技術を利用した自作銃問題の抑制につながることが期待されている。


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