金属3Dプリント市場2024年に大幅拡大

金属3Dプリント技術市場が前年比25%成長、産業全体に明るい兆し

2025年版「Metal AM Market」レポートを発表した VoxelMatters の最新データによると、2024年の金属3Dプリント市場は前年から25%成長し、業界全体として明るい兆しを見せている。とくにハードウェア市場は28%増加し、2023年の18.4億ドルから24年には23.5億ドルへと拡大。大手企業の苦戦が注目される中でも、金属3Dプリント技術は製造業の未来を支える重要な領域として存在感を高めている。

このデータは、金属3Dプリンタを製造・販売する136社による5,239台の販売実績を基に算出されたもので、460種類以上の異なる装置が世界中で流通していることを意味する。
VoxelMattersは、約400社以上の金属AM企業を独自に調査・分析し、公開情報だけでなく、企業からの直接取材やアンケート調査などをもとに成長動向を把握しているため、特定の大企業だけに依存しない「ボトムアップ型」の集計が、市場の実態をより正確に捉えることを可能にしている。

Nikon傘下のSLM Solutionsは36%の成長を記録したが、この成長を支えるのは大手企業だけではない。Xact MetalやOne Click Metal、Aconityといった中堅・中小企業が着実に台数を伸ばしており、市場全体の活性化に寄与している。
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一方、株式市場ではVelo3DやDesktop Metalなどが業績予想を下回り、株価が下落する場面も見られた。しかし、これらの一部上場企業の不振が業界全体の成長を否定するものではない。実際、上位10社の市場シェアは47%にとどまり、残る半数以上を中小規模の企業が占めている。
また、中国やインドをはじめとするアジア地域でも成長が著しい。特にKings3DやHBDといった企業は新本社の建設を進め、今後の拡大に備えている。中国企業EASYMFGも、バインダージェット方式で大きな実績を残しつつある。

金属3Dプリントのなかでも、L-PBFに加えて、DED(指向性エネルギー堆積)やWAAM(ワイヤーアークAM)、コールドスプレー、摩擦撹拌法(MELD)など多様な技術が市場の成長を後押ししており、HPやGE(Colibrium Additive)といった企業によるバインダージェットの展開も新たな流れとして注目される。

金属3Dプリント市場は、表面的には一部企業の業績悪化が取り上げられがちだが、実態としては中小企業や新興プレイヤーの台頭により全体として力強い成長を維持しており、技術の多様化と地域の拡大が、新たな市場ニーズを掘り起こし、持続的な拡張を実現している。


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