- 2025-11-6
- 最新情報
- 3DPrinting, 3Dプリンティング, ceramic, Ceramic Resin, セラミック, テクノロジー, 光造形
Lithoz、革新的セラミック3Dプリンター「CeraFab S320」で量産の可能性を実証
オーストリアの3Dプリンターメーカー Lithoz は、2025年11月にドイツ・フランクフルトで開催される世界最大の3Dプリント展示会「Formnext 2025」に出展し、航空機、半導体、医療、オーディオなど幅広い分野で実用化が進む最新のセラミック3Dプリント技術を披露する。
Lithozは、独自の「リソグラフィー方式セラミック製造(LCM)」技術を用いて、セラミック材料を精密かつ量産可能に3Dプリントできる企業として知られている。同社がFormnext 2025で披露するのは、最新モデル「CeraFab S320」によるライブ実演と、各産業での実際の量産パーツだ。
航空機分野:冷却効率を高めるタービンブレード
展示の目玉のひとつが、航空機エンジン用の単結晶タービンブレードを製造するための鋳型コアである。複雑な冷却チャンネルを持つ46種類のコアを1台のCeraFab S320で造形。従来法では不可能だった精密形状を短時間で実現し、燃費効率と耐熱性の向上を可能にした。

半導体分野:高精度セラミック製ALDリング
半導体製造装置向けに、直径15インチの「セラミック製ALDリング」を展示。CeraFab 3Dプリンターで造形された6分割構造のリングは、軽量で気密性に優れ、ガス流を均一化。従来の金属製部品に比べて寿命を9倍に延ばし、生産効率を3倍に高めるなど、量産工程の信頼性向上に貢献している。

半導体分野:軽量かつ高耐久の冷却プレート
Lithozは、半導体製造装置向けにアルミナや窒化アルミニウム製の冷却プレートも展示する。3Dプリントで作られた内部流路構造により、熱伝導性を最大化。従来の金属部品よりも軽く、冷却性能が高く、メンテナンス期間を大幅に延長できる。

医療分野:量産可能なセラミック製補聴器シェル
医療用途として注目されるのが、ドイツの CADdent との協業による「3Dプリント補聴器イヤモールド」だ。高い精度(誤差±50μm以下)と生体適合性を持つアルミナ強化ジルコニア素材を採用し、快適性と音響特性の両立を実現した。

オーディオ分野:世界初のセラミック製MCカートリッジ
ハイエンドオーディオブランド HiFiction AG と共同開発した「Thales Voro」は、完全3Dプリント製のセラミックハウジングを採用。振動を最小限に抑え、純度の高い音を再生する構造で、2025年のiFデザイン賞を受賞している。


Lithozはこれらの実例を通じ、「研究段階を超えた、量産対応の3Dプリント技術」を世界に証明する。セラミック3Dプリンター「CeraFab」シリーズと、グローバル生産ネットワーク「Ceramic 3D Factory」を軸に、今後も産業分野での普及拡大を目指すとしている。
セラミック3Dプリント技術における応用・発展のヒント
- エネルギー効率化への応用:高耐熱セラミック構造は、水素エンジンや電動航空機の冷却にも活用可能。
- 医療分野の個別生産:患者ごとに最適化されたカスタム医療デバイスの量産が現実に。
- 環境負荷の低減:廃棄ロスが少なく、持続可能な生産モデルとしても期待される。
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