- 2014-10-31
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HPから登場したマルチマテリアル対応の3Dプリンター「Multi Jet Fusion」と3Dスキャニングシステムを搭載したデスクトップPC「Sprout」は、新たなソリューションへの幕開け
現地時間2014年10月29日、米国Hewlett-Packard(HP)は、独自技術で開発したインクジェット3Dプリンター「Multi Jet Fusion」と、3Dスキャナー付きデスクトップPC「Sprout」を発表。
既にご存じの方も多いと思うこの話題。
2次元インクジェットプリンターで業界をリードしてきたHPが、満を持して発表した3Dプリンター「Multi Jet Fusion」。そして、同時に発表された3Dスキャナー付きデスクトップPC「Sprout」。同社は、今後Microsoftをはじめとした米国関連企業と協力し、新たなソリューションを展開。これらの製品はその第一歩と言える製品群と言えるのではないでしょうか。
Multi Jet Fusionの主な特徴
HPは数年前から独自に3Dプリンターの開発を進めており、今回リリースされた同モデルは、長年の研究を惜しみなく注いだモデルと言えます。
独自に開発したサーマルインクジェット技術とは、従来の粉末系プリンターのように粉末材料を薄い層にし、インク(着色材や定着剤)を噴きつけ、更にそこに熱を加えることで材料を硬化し積層する造形方式。
下記の図の通り、このインクジェット技術にはHPの培ってきた高度な技術が注がれている。
下図は、FDM方式やレーザー焼結積層方式との比較図です。
同一形状の造形時間の比較ですが、FDM方式で83時間、レーザー焼結積層方式で38時間掛かった造形が、同技術を用いたMulti Jet Fusionでは僅かか3時間で完了するとしている。当然、造形するモノの形状や素材等、様々な条件によって結果は様々だと思いますが、高速化のための高度な技術であることは間違いありません。
フルカラーや各種素材にも対応
3DSystemsのProjet 4500やStratasysのObjet CONNEX3など、従来のインクジェット方式のフルカラーモデルは「フルカラー」とうたいつつも完全なフルカラー再現が困難でしたが、このMulti Jet FusionではC/M/Y/Kの4色に対応し、本格的なフルカラー出力が可能になっている。ここはまさに、インクジェットプリンター技術で業界をリードしてきた同社の技術の賜物ですね。
また、同技術では様々な質感や強度、弾性なども含めた造形が可能となっており、ホビーユースから工業系まで様々な用途に対応することが可能になっている。
公開されているデモ映像では、Multi Jet Fusionによって出力されたチェーンパーツ(造形時間30分)を使い、自動車を持ち上げる映像が公開されています。
Shapewaysによる検証
Shapewasyでは、複数プロトタイプMulti Jet Fusionを導入し、NYCの施設で様々な検証を行い、同製品がリリースされる2016年には早々にこの技術に対応したサービス展開をするようです。
新たな環境構築が可能な3Dスキャナー付きデスクトップPC「Sprout」
「Sprout by HP」は、23インチ フルHDディスプレイとDLPプロジェクタ(1024×767)に「HP Touch Mat」というマルチタッチをサポートするタッチマットで構成されているデスクトップタイプPC。
PC上部には、深度センサーや高解像度カメラとプロジェクタを組み合わせスキャンシステムが搭載され、2D&3Dオブジェクトのリアルタイムキャプチャが可能になっている。取り込まれたスキャンデータなどは、タッチパネルスクリーンやタッチマットを利用し、指先やスタイラスペンから子供でも簡単にデータ編集が可能になっている。
また、このSproutシステムでは、複数の場所でログインしたユーザーが互いに協力し、リアルタイムでシームレスなデジタルワークスペースを共有して単一のコンテンツ構築などが可能になっている。
「スプラウト」というネーミングも、新たな一歩を感じさせますね。
とにかく映像を見ていただければ一目瞭然!
「Sprout by HP」は、米国では2014年11月9日から販売開始され、その他地域では2015年より販売予定。
価格は1899.99ドル
同社は、Sprout Developer CenterからSDKの公開もしており、積極的なアプリケーション開発を促している。また、SproutユーザーがSprout向けにデザインされたソフトウエアを見つけられるよう「Sprout Marketplace」なども用意されている。
これら一連のソリューションモデルを構築するためHPは、Microsoft、Adobe、Nvidia、Intel、3Mなどと協力し、オールアメリカンな環境でのシステムづくりを展開していくようです。今回リリースされた両製品は、目指すシステムづくりのための第一歩に過ぎず、今後様々な展開が期待できる部分です。
こういった取組み方は、日本企業との根本的な体質の違いを感じる部分ですね…。
(一部、bosnai lab 大迫社長より頂戴した情報を利用させていただきました)
HPは、既に2015年末までに企業向け事業分野とパソコンおよびプリンター事業を別会社として分割する方針を発表している。
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