Forward AMが破産手続きの開始を発表、事業継続と再建計画を強調
2017年に化学大手 BASF の一部門として発足し、フィラメント、パウダー、フォトポリマーなどの3Dプリント素材を提供してきたドイツの3Dプリント素材メーカー Forward AM Technologies GmbH(以下 Forward AM)は、2024年11月21日、ハイデルベルク地方裁判所に破産申請を行った。
FDM方式の3Dプリンタによる金属製品の造形を可能にする「Ultrafuse金属フィラメント」など、革新的な製品で3Dプリント材料市場を牽引してきた同社だが、近年の業界環境の変化が経営に影響を与えたと見られ、業界が抱える構造的課題を浮き彫りにしている。
2024年11月19日からドイツ・フランクフルトで開催された世界最大級の製造技術展示会「Formnext 2024」への参加を成功裏に終えたばかりのForward AMだが、3Dプリント素材市場からの撤退を表明する企業は同社だけでなく、フランスの高性能ポリマー企業「KIMYA」やブラジルの化学メーカー「Braskem」も2024年内に市場からの撤退を発表している。これらの企業は、Forward AM同様に3Dプリント業界の成長が期待値に達しなかったことを理由に挙げている。
Forward AMのCEOであるマーティン・バック氏は、破産手続きが再建への重要な一歩であると強調。「パートナーや投資家と協力しながら、長期的な基盤を築くことで、顧客と業界を支える革新を続けていきます」と述べ、再建への強い意志を示した。
また、今回の破産管財人として任命された弁護士は「Forward AMの事業継続の条件は整っており、運営は安定しています。再建案を迅速に実行し、事業基盤をさらに強化していきます」と述べている。
業界の未来とForward AMの位置づけ
3Dプリント素材市場における大手企業の相次ぐ撤退は、業界全体にとって試練となっている。その中で、Forward AMの破産手続きは単なる事業再編ではなく、業界全体の未来を見据えた挑戦として捉えられている。もし再建が成功すれば、Forward AMは市場からの撤退という短期的な選択を乗り越え、3Dプリント業界の成長を牽引する存在となる。今回の破産手続きが単なる一時的な困難を超え、新たな成長の章となるかどうか、その動向に注目が集まっている。
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