フェラーリ、新型F80に金属3Dプリント部品を採用

フェラーリ、ハイブリッドパワートレーンを採用した最新モデル「F80」に金属3Dプリント技術を本格導入

イタリアに本社を置く高級自動車メーカー Ferrari(フェラーリ)は、 世界限定799台の最新スーパーカー「F80」を発表。F80は、フェラーリのロードスーパーカーとして初めて金属3Dプリント部品を最終生産工程に取り入れたモデルであり、金属AM造形技術が自動車業界において重要な役割を果たしていることを示している。

3Dプリントによるサスペンション部品

F80における3Dプリント技術の中で、特に注目すべきはアクティブサスペンションシステムに採用された部品である。F80は、すべての車輪に独立したサスペンションを備えており、4つの48V電動モーターとダブルウィッシュボーンレイアウトにより作動する。これらのうち、上部ウィッシュボーンは金属3Dプリントで製造されており、フェラーリのロードカーとしては初の試みとなる。
マクラーレンも最近、サスペンション部品を3Dプリントで製造しており、今後他のスーパーカーブランドも同様の技術を採用すると予測される。

3Dプリント技術を採用することにより、レイアウトの最適化、精密なホイールコントロール、バネ下重量の軽減、アンチロールバーの廃止、そして専用のキャンバー角補正が可能になるというメリットがある。

3Dプリント技術の利点

F80における金属3Dプリント技術の導入は、自動車業界、特に高性能車両におけるAM造形技術へのシフトには、以下のような利点が挙げられる。

  • 軽量化:従来の製造方法に比べて不要な材料を削減しつつ、強度を維持するために最適化された設計により、部品が軽量化される。
  • 設計の自由度:複雑な形状や内部構造を作成することが可能で、性能や効率が向上する。
  • 迅速なプロトタイピングと生産:開発プロセスを加速させ、迅速な反復と市場投入が可能になる。
  • 材料効率:大きなブロックから削り出すのではなく、必要な材料だけを使用するため、廃棄物の削減にも寄与する。

未来への展望

F80のパワートレインやエンジニアリングには、F1や世界耐久選手権(WEC)で使用されているeターボシステムやMGU-Kモーターなど、フェラーリのモータースポーツ活動から得た技術が多く取り入れられており、フェラーリのレーシング部門とロードカー部門との技術的なシナジーが顕著に現れている。特に、3Dプリント部品の導入は、レースカー開発において性能向上が極めて重要視されている現代の技術進化を反映している。

フェラーリのような著名ブランドがAM技術を採用したことは、自動車業界における大きな一歩となる。今回発表されたF80は、次世代の高性能車を形作る技術的進化の先駆けとして、今後の未来を見据えた重要なモデルである。


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