3Dプリンターと専用賦形剤、品質管理を一体化した新プラットフォームで薬局の個別化調剤を最大4倍高速化
医薬品の個別化調剤を支援する3Dプリント技術の開発を行うフィンランド発のヘルステック企業 CurifyLabs は、3Dプリンターと3Dプリント技術、GMPグレードの賦形剤、品質・法規制対応を一体化し、従来の手作業中心の調剤を最大4倍の速度へ引き上げる新しプラットフォーム「CurifyLabs Create」を発表した。

従来の個別化調剤は手作業が中心で、配合設計の追跡、再現性の確保、薬歴とのひもづけに時間がかかっていた。CurifyLabs Createは、3Dプリンターと3Dプリント技術に対応した専用ソフト、GMPグレードの賦形剤(CURABLEND)、電子記録・検証済み手順を組み合わせ、現場の業務フローを一気通貫で最適化する。
主な特長は三つある。第一に、API(原薬)と粉砕錠の両ルートから剤形設計が可能で、錠剤・液剤・フィルム・坐剤・トローチなど患者に合わせた形状と用量を柔軟に選べる。第二に、FDAおよびGMPに整合した電子記録とバリデーションにより、監査対応や再現性の確保を強化する。第三に、100名超の薬剤師による検証結果に基づき、手作業比で最大4倍のスループット向上を実現し、エラー率の低減と標準化を後押しする。

個別化医療の潮流は強まっている。薬物遺伝学の進展や体重・年齢・嚥下機能に応じた微量調整の需要は、小児や高齢者、複雑症例で特に大きい。Createは、現場の薬剤師が投与設計をその場で微調整し、患者に最適化した製剤を短時間で提供することを可能にする。産業動向としても、3Dプリンターと調剤の融合は加速している。例えば、TriastekはEli Lillyと共同で消化管の特定部位を狙った放出設計に取り組み、UCL/FabRxらの研究チームは、体積造形(ボリュメトリック)方式で“約7秒”の高速タブレット造形を報告している。Createはこうした最前線のトレンドと整合し、薬局現場での実装にフォーカスした点が実務的な強みである。

一方で留意点もある。3Dプリント調剤は、装置校正、原材料のロット管理、ソフトのバリデーション維持など、品質システムに組み込むべき要素が多い。また、各国の薬事・業務規範との整合確認や、教育・トレーニングの標準化も欠かせない。Createは電子記録と検証プロセスを備えるが、導入時には施設ごとのSOP整備と、監査対応の運用設計が必要だ。
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