水圧転写で高精度な立体印刷を可能に

3Dプリントなどの立体物に高精細な立体印刷を可能にする水圧転写技術

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3Dプリントされた造形物などの表面に対し、高精度に薄膜カラーインクを転写する水圧転写印刷技術。同システムは、コロンビア大学とZheijiang大学の共同研究チームによって開発された『Computational Hydrographic Printing』と呼ばれるもの。

転写用インクが印刷されたPVAフィルムを水に浮かべ、オブジェクトを浸漬することにより、立体物の表面に印刷を施すシステムです。デモ映像前半でも確認できる通り、この作業を手作業で実施しても、均一で正確な印刷を実行することは不可能です。そこで同研究チームは、コンピューター制御の水圧転写装置と、専用ソフトウェアを開発しました。

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手作業では綺麗に転写が出来ない…

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立体物と印刷物の位置関係を正確に調整するため、3Dスキャン(映像ではKinect使用)を実行。
ここで得た情報などを元に、立体物に対して正確に印刷が転写されるよう、マッピングの展開方法を3DCG上でシミュレートします。3DCGユーザーであれば簡単に理解できると思いますが、テクスチャのアンラップを平面へ展開している状態ですね。
通常の平行投影では歪んでしまう部位などに対し、シミュレート段階で歪み等を考慮した最適なテクスチャを生成。ここでシミュレートされた図柄を、転写用フィルムに印刷します。

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シミュレート結果を元に、転写フィルムへ印刷

正確な位置へ立体物とフィルムを配置し、ゆっくりと沈めていきます。立体物が浸漬すると、水圧によって均等に3次元上にフィルムが転写されていきます。

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完成した立体物に施された印刷は、3DCGによるシミュレート結果とほぼ同じ。

 

複数回転写で、より立体的な印刷も可能に!

先の方法と基本的には同じことですが、デモのようにテクスチャを3方向に展開することで、より精度の高い立体転写を可能にしています。当然、各方向毎のテクスチャ(印刷)にズレが生じると非常に目立つエラーとなってしまいますが、デモ映像で見る限りでは、とても綺麗に印刷されています。

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正面、両側面に展開されたテクスチャ(転写用フィルム)

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先ずは頭から

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そして両側面に転写を実行して完成。継ぎ目の目立たない綺麗な印刷が施されています。

同様の技術を応用して、地球儀のような球体にも利用が可能です。

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技術的には従来から広く利用されている物ですが、こういった新しいデバイスや3D技術を利用することで、活用の幅が広がっていきそうですね。

 

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