3Dプリントした筋肉内部の細胞配列を電気の力で制御し、本物に近い働きを目指す新手法を開発
中国の理工系大学である西安交通大学(Xi’an Jiaotong University)の研究チームは、再生医療に役立つ骨格筋組織をより本物に近づける目的で、電場を利用した新しい3Dプリンター手法を開発した。

これまでの3Dプリンターによる筋肉組織の作製では、外見は筋肉の形を再現できても、実際の筋肉は細胞が一定方向に並びながら結合して筋線維を形成するため、この配列が乱れると収縮力が弱く、機能的な筋肉になりにくいという課題があった。
研究チームはこの問題を解決するため、EHD(電気流体力学)バイオプリンティングという3Dプリント技術を利用した。この方法では約3000ボルトの電場を使い、液体状のバイオインクを非常に細いジェットとして引き伸ばしながら3Dプリントする。

さらに研究では、アルギン酸ゲルと天然タンパク質のフィブリンを組み合わせたバイオインクを開発。3Dプリント中に電場が作用すると、フィブリンが同じ方向へ並ぶナノファイバー構造を形成する。この繊維に沿って細胞が自然に並ぶため、筋肉の内部構造に近い配列が実現する仕組みだ。
また研究チームは、筋肉が電気信号で収縮を制御する組織である点にも着目し、バイオインクに導電性ポリマーを加えた。これにより、3Dプリントした組織内でも電気信号が伝わりやすくなり、筋肉としての機能を再現しやすくなる。
この3Dプリント組織を筋肉欠損のある動物モデルに移植したところ、新しい筋肉形成を促し、機能回復の改善も確認された。研究チームは、材料配合や細胞密度などの最適化が今後の課題だとしながらも、この3Dプリント技術が再生医療や組織工学の分野で重要な一歩になる可能性があるとしている。
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