- 2014-5-27
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コンクリート積層で住宅を造形する大型3Dプリンターが今夏発売予定?
スロベニアの企業が開発したBetAbramは、積層面積に応じた3タイプのプリンターを開発中。
今夏(2014年夏)には、最小モデルの「P3タイプ」を12,000ユーロ(170万円前後)で発売するそうです。その後、順次他タイプのリリースも予定しているようですね。
建築用コンクリート3Dプリンターについて
id.artsでは、大手ハウスメーカーや建材メーカー、有名建築設計事務所などのコンテンツ開発やビジュアライゼーションを長年に渡って手掛けており、建築分野とはとても深いご縁があります。そういった関係から、建築関連分野の技術研究について着目しておりますが、今回の話題でも幾つか気になる点があるため、その辺りを少しまとめてみました。
これまでにも様々なタイプの同類技術(建築用コンクリート3Dプリンター)研究について公開されていますが、この手の情報では、肝心の材料に関する発表がとても少ないと感じるのは、筆者だけでしょうか?
耐震などに係る構造上の問題で言えば、ジョイント式鉄骨の組み込みや壁内配管をコンクリート積層と共に成形していく。という技術など、他の研究事例では色々と紹介されていますが、コンクリート材料その物について詳細が公開されていないため、どこまで実現性があるのか、どうしても疑問に感じてしまう部分であります。
積層造形でコンクリートを積み重ねていくには、積層時の負荷に耐得る粘度や硬化速度などが大切だと思うため、造形機器の特性に合わせた専用材料が必須になるはずです。ただし、材料が専用の物になれば、安価なコンクリートに比べ材料コストがアップしてきます。そうなっては「安価に家をプリントする」と言うプロジェクトの趣旨から外れてしまう可能性もあります。
材料の成分公開は無理でも、材料に関する研究内容や検証レポートなどは是非とも公開していただきたいですね。
課題を上げればキリがありませんが
積層造形の問題だけに限らず、硬化後のコンクリート強度・耐候性(耐水性)・耐熱性・耐蝕性などの他、こういった部分の研究はどの程度まで進んでいるのか、知りたいところです。
さらに、かなりの重量となる壁面を支える土台(基礎)部分の工事はどうなるのでしょうか?脆弱な地盤にコンクリート壁面を立ち上げれば、自重で建物が傾いたり破損したりする可能性があります。
安価に早く貧困地域に住宅を建設できるようにする。と言うコンセプト自体は、コンクリート住宅の基本そのものだと思いますが、人が住むからには、それ相応の安全性が担保されなければなりません。
被災地などで利用する仮設住宅や、軍事目的など、一次的な利用に限定しての用途は様々考えらえると思いますが、材料と造形工法に関連する安全性などの部分もあまり公表されていませんね。
個人的にはとても知りたい部分であります。専門的な知識を要する方がいらっしゃれば、是非ご教授いただきたいところです。
今後、技術の向上と共に進化する分野だとは思いますが、「人が快適に住める住宅」として開発をするには、また別次元の研究が必要になります。
外壁を立ち上げた後、更に手間の掛かる工程(内外装仕上げ、断熱性他色々)なども十分に理解した上で、こういった技術研究は進めていただきたいですね。
残念ながら建築関連法がとても厳しい日本では実現が難しいと思いますが、日本の建設技術者達が本気でこの分野の研究を進めたら、もっと違った形の進化が期待できるかもしれませんね。
BetAbram動作映像
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