Bambu Lab 3DプリンタとAIで風車を診断

Bambu Labの3Dプリンタで作成した風車模型とAIで実現する風力タービンの次世代メンテナンス技術

オランダのフローニンゲン大学の研究チームは、Bambu Lab の3DプリンタとAIを活用し、風力発電ブレードの損傷を高精度に検出する新技術を開発した。この技術は、低コストかつ再現性のある手法として注目されており、再生可能エネルギー分野の保守・点検に革命をもたらす可能性がある。

風力発電ブレードは、強風や気候変化による激しい負荷にさらされているため、早期の損傷検出が重要とされているが、従来の点検方法は高額かつ時間を要する課題があった。こうした背景のもと、フローニンゲン大学の研究チームは、PLA素材で3Dプリントした風車ブレード模型を用いて、振動データと機械学習を組み合わせた損傷検出法を提案。使用したのは、Bambu Labの3Dプリンタで作成した全長300mmのNREL 5MWブレードの縮小模型で、根元、中間部、遷移部などに5種類の疑似損傷を加え、構造の変化を検出した。

構造への影響は、FEM(有限要素法)によるシミュレーションとハンマーテストによる実験的モーダル解析によって検証。特に、振動モード3、4、6において3Hz程度の共振周波数の変化が観測され、損傷の有無を明確に区別できることが分かった。

データ解析では、時系列および周波数領域から有意な特徴量を抽出し、ANOVAで統計的に有効なデータを選定。これらを用いてランダムフォレスト、SVM(サポートベクターマシン)、KNN(k近傍法)、ナイーブベイズといった機械学習モデルを訓練。その結果、SVMとKNNが94%以上という高い分類精度を記録した。

この研究は、3Dプリント技術とAIを組み合わせることで、風力発電設備の状態監視と予知保全をより効率的・低コストに実現できる可能性を示している。今後は、複数ブレードやより複雑な損傷パターンにも拡張され、リアルタイムの監視システムへの応用が見込まれている。


関連記事

3DP id.arts の最新投稿をお届けするニュースレターへの登録はこちら

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でid.artsをフォローしよう!

     

ページ上部へ戻る