中国、完全3Dプリント製エンジンで初飛行

中国が完全3Dプリント製のターボジェットエンジンで試験飛行を成功させる

中国の国家系航空メーカーである中国航空エンジン集団(AECC)は、同国で初めて3Dプリンターで完全製造されたターボジェットエンジンの試験飛行に成功した。試験は2025年7月上旬、内モンゴル自治区で実施され、エンジンは最大高度4,000メートルに到達。飛行中の安定稼働が確認された。

開発には「マルチディシプリナリ・トポロジー最適化」が採用され、部品構造を徹底的に見直すことで、従来の鋳造や切削では実現困難な複雑形状を一体化。3Dプリンティングとの相乗効果により、重量を抑えつつ耐久性を維持する構造を可能にした。

これまで中国は高性能航空エンジンの要である単結晶タービンブレードなど、核心技術を国外に依存してきた。特に材料科学や高精度加工技術の壁が厚く、国産エンジンの開発は停滞していた。今回の試験成功は、アディティブマニュファクチャリング(AM)によってその壁を突破しつつあることを示唆している。
今回のエンジンは推力160kgクラスとされており、高速・長距離型の無人航空機(UAV)に最適と考えられる。AECCは具体的なプラットフォームを明らかにしていないが、民間機や大型機ではなく、無人機分野への応用が期待される。ただし、3Dプリント技術の量産適用には課題も多く、高温下でも安定する金属粉末の品質、内部欠陥の非破壊検査、高精度な寸法管理など、製造プロセス全体での再現性と信頼性が求められる。

AECCは「今回の飛行成功により、将来の高性能航空エンジン開発に向けた技術的基盤がさらに強固になった」と述べている。


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