AI時代に進化する3Dプリンター市場調査

AIによる情報収集を超え、設備・材料・造形量から3Dプリンターサービス市場の実態と成長性を読み解く新調査

3Dプリンター(アディティブ・マニュファクチャリング 以下 AM)分野に特化した米国の市場調査会社である AM Research は、急拡大する3Dプリンター受託製造市場の実態をより正確に把握するため、新たな「Services Market 2.0」モデルの構築を進めている。AIによる情報収集に加え、各社の設備、材料、造形量、売上構造まで掘り下げ、市場の成長を設備単位から可視化する試みだ。

これまでの3Dプリンター市場では、装置販売や材料出荷の規模が市場成長を測る代表的な指標とされてきた。しかし産業用途が試作中心から最終製品の生産へ広がるにつれ、装置そのものを購入せず、外部の専門企業へ製造を委託する「3Dプリントサービス」の存在感が高まっている。AM Researchによると、2026年第2四半期のAMサービス市場は約25億ドル(約3,960億円)で、前年同期の21.9億ドル(約3,470億円)から約14%増加しており、これは同期間のAM市場全体の成長率12%を上回る伸びである。そこで同社が開発する「Services Market 2.0」では、売上高を集計するだけでなく、サービス企業が何台の3Dプリンターを保有し、どの方式をどれだけ稼働させ、どの材料をどの程度部品へ変えているかを推計する。さらに造形された材料の体積と、材料や方式ごとに異なる加工時間、後処理、価格などを組み合わせ、造形量がどれだけ売上につながるかをモデル化する。最初の分析対象には、長年の公開情報を持つMaterialiseが選ばれた。近年は自動見積もりソフトも進化しており、造形量と収益を結び付ける分析の精度を高めやすくなっている。

Services 2.0 モデルの論理的な流れをまとめた図:AM Research

AIは企業資料や公開データを短時間で集めるには有効だが、それだけでは数字が生まれた理由や企業ごとの技術差、用途の違いまでは十分に説明できない。今回の手法は、AIを調査の代替ではなく、専門家の分析を高速化する道具として位置付ける点が特徴だ。
これは、企業が自前でサーバーを持たずクラウドを利用する流れにも似ている。高価な産業用3Dプリンターを所有しなくても、必要な時に専門サービスを利用できれば導入の壁は下がる。特に防衛、エネルギー、航空宇宙など、必要な部品を短期間で確保したい分野では受託製造の重要性がさらに高まる可能性がある。AM Researchは2025年のプリントサービス市場を約89億ドル(約1兆4,100億円)と推計し、2035年には約380億ドル(約6兆180億円)に拡大する可能性を示している。今後は「何台売れたか」だけでなく、「その装置から何が、どれだけ生産されたか」が3Dプリンター市場を読み解く重要な指標になりそうだ。


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