国道8号浅野川橋の耐震補強工事に3Dプリンター製型枠を採用し施工日数を約47%削減
国土交通省北陸地方整備局金沢河川国道事務所は、石川県金沢市の国道8号浅野川橋で進める耐震補強工事に、3Dプリンターで製作した埋設型枠「3DCP型枠」を採用した。対象となったのは下り線のP5橋脚で、柱や基礎、フーチングの耐震性能を高める工事のうち、フーチングのRC増厚補強に3Dプリンター製型枠を活用している。
画像:国土交通省 金沢河川国道事務所
施工場所は浅野川の堤防内にあり、近くには高速道路と市道が通るうえ、橋桁の下という高さの制約もある。さらに、堤防を掘削する工事のため、施工可能な時期は非出水期の11月から5月までに限られていた。冬季の積雪や降雨、地下水の影響も考慮する必要があり、限られた期間内で確実に工事を終えることが重要な課題だった。
そこで採用されたのが、モルタル系材料を3Dプリンターで積層して製作する3DCP型枠である。工場で造形した型枠を養生、検査したうえで現場へ運び、そのまま構造物の一部として残す。従来の型枠では、現場での加工や組み立て、脱型、足場の設置・撤去などが必要だったが、3Dプリンター製型枠を使うことで、これらの作業を大幅に削減できる。
その結果、フーチング補強に必要な現場施工日数は、従来工法の15日から8日へ短縮された。削減日数は7日で、約47%の工期短縮となる。型枠の加工や脱型といった一連の工程を簡略化できたことが大きく、施工期間が厳しく制限される今回のような現場では特に効果が大きい。
3Dプリンターで製作された型枠 画像:国土交通省 金沢河川国道事務所
一方で、工事費は従来工法の約632万円に対して、3DCP型枠を利用した場合は約919万円となり、約287万円、率にして約45%増加した。主な要因は、3Dプリンターによる型枠の工場製作費や運搬費である。ただし、工期短縮に加え、品質の均一化、現場作業の省力化、複雑形状への対応のしやすさなどを含めて考えると、施工条件に応じて十分な効果が期待できるとしている。

また今回の工事では、当初予定していたオープン掘削を見直し、鋼矢板による仮締切工法へ変更。これにより、高速道路の既設橋脚や市道への影響を抑えながら、掘削範囲の安定性や止水性を確保した。さらに、高さが限られる橋桁下では、短く分割した鋼矢板を現場で継ぎ足しながら圧入する「上部障害クリア工法」を採用し、狭い作業空間でも施工できるようにした。
今回の浅野川橋の事例は、3Dプリンターが構造物そのものを造形するだけでなく、コンクリート工事に欠かせない型枠の製造にも有効であることを示している。建設現場では人手不足や技能者不足が課題となるなか、3Dプリンターを使って型枠製作を工場へ移し、現地作業を減らす手法は、橋梁補修や耐震補強をはじめとするインフラ工事の省力化、工期短縮につながる技術として、今後さらに活用が広がる可能性がある。
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