- 2026-8-27
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研究チームが廃プラスチックを食品原料へ変換し3Dプリンターでクッキーを製造
NASAが支援する南イリノイ大学カーボンデール校の研究チームは、長期宇宙探査で限られた資源を循環利用することを目的に、廃PETプラスチックや農業廃棄物を微生物で食品成分へ変換し、3Dプリンターでクッキー状に成形する新たな食料生産技術を開発した。廃棄物を「食べられる資源」へ変える発想が、宇宙食と3Dプリンター材料の常識を大きく変えようとしている。

この研究のポイントは、プラスチックそのものを食べるのではなく、PETに含まれる炭素をいったん細かな分子へ分解し、酵母などの微生物に原料として利用させる点にある。廃PETやトウモロコシの茎・葉などは、水と酸素を高温・高圧下で用いる処理によって、微生物が取り込みやすい状態へ変換される。その後、特定の働きを持つよう調整された酵母が、これらの炭素源からタンパク質や脂質、酸、香味成分などを作り出す仕組みだ。
これらの工程から得られた成分に食物繊維、でんぷん、甘味料などを加え、押出式の3Dプリンターで一層ずつ積み重ねてクッキー形状に成形する。3Dプリンと技術により形状や一食分の量をデジタルデータで管理できるため、必要な分だけをその場で作るオンデマンド型の食料生産とも相性が良い。

さらに研究では、酵母を利用して植物由来の原料からバニラの香りを生み出す成分を作ったり、PET由来の成分からニンジンなどにも含まれるβカロテン(体内でビタミンAへ変換される成分)を生成したりする試みも進められている。将来的には、現在外部から加えているでんぷんや食物繊維、甘味成分まで微生物で生産し、より閉じた資源循環システムを構築することが目標となる。

これまでの宇宙食は、地球上で製造した長期保存可能な食品を宇宙へ運ぶ方法が基本だった。しかし、火星などを目指す数年規模のミッションでは、補給できる物資の量や食品の保存期間、船内で発生する廃棄物の処理が大きな課題となる。廃棄物から新たな栄養源を作り、それを3Dプリンターで必要な形と量に加工できれば、地球から運ぶ食料を減らしながら資源を循環させられる可能性があるとして、3Dフードプリント技術が注目されている。

こうした仕組みは宇宙だけの技術でもない。災害によって物流が途絶えた地域、農業が難しい遠隔地、長期間外部から補給を受けにくい潜水艦など、食料供給が制限される環境への応用も考えられる。従来の食品3Dプリント技術が「既存の食材を自由な形にする」ことを中心としてきたのに対し、今回の研究は「廃棄物そのものを食品原料へ作り替える」という一段前の工程まで組み合わせている点が大きな違いだ。
一方、完成したクッキーは現在も研究用プロトタイプであり、正式な試食は承認待ちの段階にある。安全性の継続的な検証に加え、量産性やコスト、味、食感、そして「廃プラスチック由来の食品」を消費者が心理的に受け入れられるかといった課題も残されている。
それでも、廃棄物処理、微生物、食品製造、3Dプリンター材料という異なる分野を一つの循環システムとして結びつけた今回の研究は、3Dプリンターの役割をさらに広げる可能性を示している。
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