WASPとOlfattiva、建築3Dプリンターで自給型農場「Shamballa」を公開
イタリアを代表する3Dプリンターメーカー WASP と薬用植物やアロマテラピーを軸に、森林再生や持続可能な農業を推進する Olfattiva は、イタリア北部エミリア=ロマーニャ州の丘陵地で、3Dプリント建築、薬用植物の栽培、環境再生を一体化した屋外研究拠点「Shamballa」を公開した。

3Dプリンターを活用し、住まい・農業・資源循環を結びつける新しい自給型ライフモデルの実証を目指す取り組みであるShamballaは、WASPの建築部門であるWASP 3D Buildが手掛けた自給型ファーム「Itaca」が設けられている。WASPの建築用3Dプリンター「Crane WASP」を用いて造られた建築物であるItacaは、六角形のフレームに固定された4本のロボットアームが同時に動き、建物の外殻を短期間で造形できる仕組みを採用している。

壁材には、天然水硬性石灰と鉱物系バインダーを組み合わせた材料が使われており、一般的なセメントに比べてCO₂排出を抑えやすく、耐久性や通気性にも優れるため、室内の温度調整やカビの発生抑制にも役立つ。さらに、厚さ60〜70cmの壁の内部には農業廃棄物であるもみ殻を断熱材として充填しており、WASPはこの組み合わせにより全体としてCO₂収支がマイナスになると説明している。
また、Itacaはイタリアの耐震基準を含む従来建築と同等の規格に適合する建築モデルとして位置づけられており、地震が多く、建築規制が厳しい地域で認証を得たことは、3Dプリント技術を使った建築が実験段階から実用段階へ進みつつあることを示す重要な一歩である。

Shamballaは、建築だけで完結する施設ではなく、敷地内には、建築3Dプリントやバイオ建築に取り組む研究者のためのラボや研究開発スペースが設けられ、自動化された庭、雨水回収システム、資源の消費と廃棄を減らす小規模循環型経済モデルの実証も行われる。つまり、建物・水・農業・エネルギー・廃棄物を別々に考えるのではなく、ひとつの生活システムとして再設計する試みである。
そしてもうひとつの柱が、Olfattivaが運営する8ヘクタールの薬用植物ガーデンである。このガーデンは、森林再生とアグロフォレストリーの考え方を取り入れて整備され、古い地域品種を含む500本以上の果樹と、約5万本の芳香植物・薬用植物が育てられている。

3Dプリンターによる建築は、災害復興住宅、農村地域の小規模拠点、砂漠化地域の自給型施設、離島や山間部での分散型インフラなど、幅広い分野への応用が期待されている。

関連記事
3DP id.arts の最新投稿をお届けするニュースレターへの登録はこちら
最新情報をお届けします
Twitter でid.artsをフォローしよう!
Follow @idarts_jp








