ハワイ発スタートアップが独自複合材料で6m級ボート船体を3Dプリント
ハワイのスタートアップ Voltage Vessels は、海洋防衛分野での活用を目的に、再生PETGと玄武岩繊維を組み合わせた独自開発の複合材料を使用して6m級のボート船体を大型3Dプリンターで製造し、米国の海洋防衛評価へ提出した。

この船体に使用された独自の複合材料「Eclipse X9」は、再生PETG樹脂に玄武岩繊維を加えた素材で、軽量性と強度を両立している点が特徴だ。繊維を混ぜることで、プラスチック単体よりも高い耐久性を実現している。同素材は米メイン大学でも検証されており、従来の3Dプリント船舶向け材料を上回る強度を示したとされる。また、海水に長期間浸した試験でも高い耐久性を維持しており、実用船体への応用が期待されている。

さらに、この材料には電気を通しにくく、電波を妨げにくいという特徴がある。アルミ船体やカーボンファイバー船体では、電波の通りやすさが課題になる場合がある。一方、Eclipse X9は電波透過性を持つ可能性があり、自律航行艇や通信機器を搭載する海洋ロボットとの相性が期待されている。ただし、特定の周波数帯での性能については、現在も評価中とされている。

3Dプリンターを使った船体製造の利点は、金型を使わずに複雑な形状を直接造れることにある。従来の船体製造では、型の製作や手作業による積層、組み立て工程に多くの時間とコストが掛かるが、大型の3Dプリント技術を活用すれば、設計変更への対応がしやすく、必要な場所で必要な部品を造る分散型生産にもつながる。
また、PETG系の熱可塑性樹脂は、加熱すると再び溶かして成形できる性質を持つため、使用後の船体を粉砕し、再びペレット化して3Dプリンター用材料として使える可能性がある。これは、補給や廃棄物処理が難しい離島、災害現場、前線基地などにおいて大きな意味を持つ。
Voltage Vesselsは、Eclipse X9の年間生産能力を最大1万5000トン規模まで拡大できるとしており、インド太平洋地域での分散生産体制も視野に入れている。
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