大林組が挑む建築向け金属3Dプリント

大林組が建築分野で金属3Dプリント技術を深化させ、WAAMによる大型構造表現の実用性を実証

日本を代表する総合建設会社のひとつである大林組は、建築分野における3Dプリンター活用の可能性を探る目的で、金属を用いた大型3Dプリント構造物「the brænch」を開発し、東京都清瀬市の技術研究所に設置した。

「the brænch」は、branch(枝)とbench(ベンチ)を組み合わせた名称を持つ、高さ約3メートルの金属3Dプリント構造物で、2023年に同社が発表したセメント系材料による耐震3Dプリント建築「3dpod」に続くものであり、建設分野における3Dプリンター活用を段階的に拡張してきた流れの中に位置づけられる。
今回の中心技術は、WAAM(Wire Arc Additive Manufacturing)と呼ばれる金属3Dプリント手法を用いたもので、従来の金属3Dプリントよりも造形速度が速く、材料コストを抑えやすいため、大型部材が必要な建築分野との相性が良い。
一方で、建築に使われる炭素鋼では、溶接時に発生するスラグ(不純物)が積み重なり、精度や強度の確保が難しいという課題があった。これに対し大林組は、材料の組み合わせや溶接条件を最適化する独自の金属3Dプリンターを開発し、スラグの発生を抑えながら安定した造形を可能にした。その結果、強度試験により、構造部材として十分な性能を持つことが確認されている。

さらに同社は、造形しやすさと構造的な合理性を両立させるため、専用の設計システムも構築。無数の設計候補点を自動でつなぎ、造形可能な角度や最小寸法といった制約条件を満たしながら形状を生成する仕組みのシステムは、力のかからない不要な部材を除去する構造解析も行い、強度と軽量性を兼ね備えた形状を導き出している。

「the brænch」は30点の異なる部品に分割してWAAMで造形され、中空構造の鋼材を採用することで、材料使用量を抑えつつ高い強度を実現した。現地での組み立てにはAR(拡張現実)技術を活用し、複雑な形状でも高精度な位置合わせを可能にしており、頂部には、DigitalArchiが手がけた再生ポリカーボネート製の装飾パーツが設置された。


関連記事

3DP id.arts の最新投稿をお届けするニュースレターへの登録はこちら

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でid.artsをフォローしよう!

     

ページ上部へ戻る