電力も物流も限られたガザで、3Dプリンターを活用した医療機器の現地製造が重傷治療を支えている
カナダに拠点を置く非営利法人(医療機器開発団体)Glia は、深刻な医療資材不足に直面するガザ地区において、3Dプリント技術を活用した重度骨折用の医療機器を現地で設計・製造・使用する取り組みを実施している。輸入に依存せず、限られた電力と資源の中で治療を可能にすることを目的としたこのプロジェクトは、すでに患者の四肢機能回復に貢献している。

重度の骨折治療に使われる創外固定器は、骨を体外から安定させ、感染や変形を防ぐ重要な医療機器であるが、通常は輸入品に依存し、高額で安定した電力や物流が必要となる。しかしガザ地区では、医療施設の大半が損傷し、電力や医療資材の供給も著しく制限されているため、こうした医療機器の確保は極めて困難な状況にある。
この課題に対し、オープンソース医療機器開発団体の Glia は、3Dプリンターと3Dプリント技術を活用し、創外固定器をガザ地区内で設計・製造・使用する取り組みを進めている。装置は3Dプリンターで造形した部品と再利用可能な素材で構成され、太陽光発電による設備でも製造が可能なため、安定した電力網がなくても生産を継続できる点が特徴である。

このプロジェクトは、過去の研究成果を基に、ガザで活動する医師やエンジニアが現地環境に合わせて改良を重ねてきたもので、実際に入手可能な工具と材料のみを使うことを前提としている。2025年8月以降、すでに複数の患者がこの創外固定器による治療を受け、四肢機能の回復と切断回避が確認されており、現在も治療を待つ患者がいるという。
また、この医療機器の設計データはオープンソースとして公開されており、ガザに限らず、紛争地域や災害地域など、医療インフラが脆弱な場所でも再現・応用が可能である。近年、人道医療の分野では3Dプリンターの活用が広がっており、今回の取り組みは、輸入に頼らず地域内で医療機器を生み出す新しい医療支援モデルとして注目されている。
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