3Dプリント技術で再現する疾患肝臓モデル

3Dプリント技術で脂肪肝からMASHまでを一体評価可能に

3Dプリント技術を基盤とした細胞デバイス開発を手がけるバイオベンチャーであるサイフューズは、脂肪性肝炎(MASH)の新薬開発を支援する新製品「ヒト3Dミニ肝臓®/疾患モデル」の販売を開始した。

本製品は、同社独自の3D細胞組織培養技術を用いた機能性細胞デバイス(FCD®)シリーズの新ラインナップである。すでに販売中の「ヒト3Dミニ肝臓®/健常モデル」は、ヒト肝臓の一部機能を体外で再現できる細胞製品として、製薬企業を中心に薬剤安全性評価用途で導入が進んでいる。
今回新たに投入される疾患モデルでは、初期の脂肪肝から、炎症や線維化を伴うMASHに至るまでの病態進行を段階的に再現できる点が大きな特長である。これにより、疾患の進行段階ごとに異なる作用を示す治療薬候補を、ヒト細胞ベースで評価することが可能となった。
さらに本モデルを活用することで、新薬開発プロセスにおける薬剤性肝障害(安全性)と疾患に対する薬効(有効性)を同時に検証できるため、従来数カ月を要していた評価期間も、約3~4週間へと大幅に短縮され、開発コストやリスクの低減、開発サイクルの高速化、成功確率の向上が期待される。

製造面では、大阪サニタリーが有する高度な無せん断攪拌技術と、サイフューズ独自の3D細胞組織培養技術を融合。生きた細胞にダメージを与えることなく均一に混合することで、ばらつきの少ない高品質な3D細胞製品を安定的に製造することに成功。この製造技術により、再現性の高い疾患モデルを継続的に供給でき、競合製品に対する優位性を確立している。
今後は、富士フイルム和光純薬、シスメックス、ケー・エー・シー、極東製薬工業、オリエンタル酵母工業との販売提携体制を活かし、製品の普及を加速させる方針である。あわせてFCD®シリーズの拡充、生活習慣病領域への展開、さらにはグローバル市場への進出を視野に、創薬支援事業の強化と事業基盤の拡大を進めていくとしている。


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