NASAの最新補給ミッションで「生体・金属・骨細胞」分野の3Dプリント研究が始動
NASAは、2025年8月24日(日本時間)に打上げられるSpaceXの第33次国際宇宙ステーション(ISS)への補給ミッション(SpaceX CRS-33)において、国際宇宙ステーション(ISS)内で、神経再生を目指す生体3Dプリントデバイス、血管を含む肝組織のバイオプリント、骨形成細胞の解析、さらには金属3Dプリントの実証など多岐にわたる研究を行う。
生体3Dプリントによる神経再生
研究チームは最大18個の神経ブリッジ用インプラントを試作し、2026〜2027年に地上で前臨床試験を行う予定だ。微小重力環境で生体細胞を素材にプリントすることで、従来より高品質なインプラント作製が可能になるこの取組みは、外傷で失われた神経の再生を加速させ、将来的には宇宙飛行士や地球上の患者治療に貢献するという。
血管を備えた肝組織の3Dプリント
科学的発見を臨床治療に応用するWake Forest再生医療研究所は、血管を含む肝組織をプリントし、宇宙での発達を観察。血管網が形成されれば、臓器移植用の完全な人工臓器開発に近づくと期待される。
骨形成細胞の研究
この研究では、宇宙飛行で問題となる骨量減少に対し、骨形成幹細胞の挙動を研究する。特に、IL-6というタンパク質の信号を阻害することで骨喪失を抑えられる可能性があり、地球上の骨粗鬆症やがん治療にも応用が見込まれる。
金属3Dプリントの実証
欧州宇宙機関(ESA)は、補給が困難になる長期探査を見据え、宇宙空間での金属3Dプリントに挑戦。この取組みは、小型立方体やノズルをプリントし、地上品と比較して品質を評価。長期探査では補給が難しくなるため、現地で部品を造る技術は必須であり、資源循環や持続可能な宇宙探査に直結する。
こうした研究群は、宇宙での生活を支えるだけでなく、地球社会における医療、材料科学、そして製造業全体に革新をもたらす可能性を秘めている。
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