RIT、自己修復する3Dプリント素材を開発

ロチェスター工科大学が自己修復可能な3Dプリント素材を開発

ロチェスター工科大学(RIT)の研究チームは、ダメージを受けても元の強度を取り戻すことができる自己修復型の3Dプリント用フォトポリマー樹脂を開発した。この素材は精密な光造形でも使用可能で、部品交換の頻度を減らし、3Dプリント技術の持続可能性を高める。

新開発の材料は、熱可塑性ポリマーとUV硬化型熱硬化性樹脂を組み合わせたデュアルフェーズ構造で、印刷時には均一な透明樹脂として成形され、硬化後は内部で2つの成分が分離して機能を分担する。熱硬化性樹脂が構造の剛性を担い、熱可塑性樹脂は亀裂や破損部位に再び流れ込み、冷却とともに固化して修復を行う。

研究チームによる実験では、損傷後に加熱処理を行うことで、元の機械的強度のほぼ全てを回復できることが確認された。むしろ従来のフォトポリマーより高い耐久性を示すケースもあり、航空宇宙、ソフトロボティクス、医療機器、コーティング分野での応用が見込まれている。この研究は、3Dプリント部品に「壊れても直る」という新たな選択肢をもたらす可能性を秘めている。例えば、過去に何度も修理ミッションが必要だったハッブル宇宙望遠鏡のような装置に、自己修復素材を用いることで、打ち上げ後の部品交換の負担を大幅に軽減できる可能性がある。
ただし、熱可塑性材料を加えることによる3Dプリント適性には課題が残るため、研究チームは印刷性と修復性のバランスを最適化する樹脂配合の改良に取り組んでおり、将来的にはSLAやDLPプリンタ向けの商用材料としての展開を視野に入れている。


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