土、藁、海藻糊で作る循環型建築を3Dプリンタで実現、大阪万博で初披露
2025年4月13日から開催されている大阪・関西万博にて、浜田晶則建築設計事務所(Aki Hamada Architects)が設計した土製の3Dプリント休憩施設が公開された。この建築物は、WASP社の大型クレーン型3Dプリンター「Stand Alone Crane WASP」を使用し、日本国内の土壌素材を用いて造形された、100%自然由来の構造物である。
この構造物に使用された素材は、土、粘土、藁、天然の硬化剤、顔料、海藻由来の接着剤など、日本の伝統的な土壁建築に着想を得ており、自然に還る循環型建築としてのメッセージを発信している。
本プロジェクトでは、ベンチやプランター、手洗い場などが現地で直接3Dプリントされ、来場者の憩いの場を形成。特にベンチ兼プランターはC字型や集合型など多彩な形状で構成されており、訪れる人々の多様な使い方に対応する設計がなされている。
外装パネルは富山県内の工場でプレファブ化され、合計56ユニットが現地に運ばれ組み立てられた。岩肌のような質感を持つこれらのパネルは、それぞれ形状が異なり、自然地形のようなランダム性を持たせている点が特徴である。
手洗い場も同様に3Dプリントにより製造され、メンテナンス性や利用者の身体動作に配慮した形状で設計されている。
この建築は、単なる展示ではなく、「未来の建築とは何か」「人と自然、機械の関係はどう変化していくのか」という問いを投げかける存在であり、現地の資源と最先端の3Dプリント技術の融合が、新たな建築文化の可能性を提示している。
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