ATLAS実験装置の3Dプリント用モデルを公開

CERNの物理学者、ATLAS実験装置の精密3Dプリントモデルを公開

欧州原子核研究機構(CERN)のATLAS検出器運用グループのメンバーであるヤン・ブラジェル氏は、ATLAS実験装置の詳細な3Dプリントモデルを設計し、3Dプリンタメーカー Bambu Lab が提供する3Dプリント愛好家やデザイナーのためのコミュニティ「MakerWorld」上で公開した。
このプロジェクトは、同僚との冗談から始まり、ATLASコーディネーターの退職記念品として正式に依頼されたことをきっかけに、本格的な取り組みへと発展した。
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ATLAS検出器は、CERNが所有する大型ハドロン衝突型加速器(LHC)に設置された巨大な科学装置であり、46メートルの長さ、25メートルの高さと幅、7,000~9,000トンの重量を持つ巨大な装置で、ビッグバン直後の状態を再現する高エネルギー粒子衝突を生成し、宇宙の起源や基本的な構成要素の研究に貢献している。
ATLAS検出器は、これらの衝突結果を詳細に記録し、ヒッグス粒子やダークマターなどの現象の研究に役立てられている。

ブラジェル氏は、ATLASの複雑な構造を再現するために6か月を費やし、3Dプリントモデルを設計。最終的なモデルは200以上の部品で構成され、4台の3Dプリンタを使用して5週間かけてプリント・組み立てが行われた。
完成したモデルは教育や広報活動のために複数の部門からも要望があり、1:100スケールのATLASモデルとしてMakerWorld上で公開され、物理教育コンテストで2位を獲得した。

この模型のプリントには、約4日と6時間のプリント時間、2kgのフィラメントが必要で、組み立てには644個の磁石と接着剤が必要となる。
今回の公開により、ATLAS実験装置の構造理解が深まり、教育や広報活動において3Dプリント技術の活用が促進されることが期待される。


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