Shapewaysが破産申請

3DプリントサービスのパイオニアShapewaysが破産申請、経営陣は辞任

3Dプリントサービスプロバイダーの草分け的存在である Shapeways とその子会社は、デラウェア州連邦破産裁判所に、連邦破産法第7章に基づく救済措置を申請。この申請により、すべての業務が停止され、連邦破産法第7章に基づく管財人が任命され、同社の破産財産の管理にあたることになる。管財人は同社の資産の清算を監督し、債権者向けの最初の審理が予定されている。

この破産申請により、3DP Custom Manufacture, LLC に対する669,500ドルの担保付き約束手形など、未払い債務のいくつかが不履行となる。また、破産申請に伴いShapewaysの経営陣であるCEOのグレッグ・クレス、CFOのアルベルト・レッキ、COOのアンディ・ニードは、役職を辞任。さらに、レスリー・C・G・キャンベル、ラージ・バトラ、ライアン・カーニー、グレッグ・クレス、クリスティーン・ゴルジャンク、アルベルト・レッキ、ジョシュ・ウルフで構成される取締役会は全員辞任した。これらの辞任は破産申請によるものであり、会社の運営や方針に関する意見の相違によるものではないとしている。

3Dプリントサービスでデジタル製造に革命を起こすことを目指し、Philips Electronicsのスピンオフして2007年に設立されたShapewaysは、高品質でカスタマイズ可能な3Dプリント製品を提供する業界のパイオニアとして高い評価を得てきた。2010年には本社をニューヨークに移転し、2012年にはニューヨーク州ロングアイランドシティに世界最大級となる最新鋭の3Dプリント工場をオープンした。
設立当初は、デスクトップ3Dプリンタや消費者向け3Dプリンティングサービスの登場に伴う話題性から業績を伸ばしていたが、2014年の株式市場の暴落後、業界の軌道変化に対応できず苦戦。他のサービスプロバイダーが産業顧客に焦点を合わせている中、同社は消費者向け商品の販売を継続。2021年にはSPAC(特別目的買収会社)であるGalileo Acquisition Corpとの合併により株式公開し、同社の評価額は6億500万ドルとなったが、成長予測を達成するのに苦戦しており、2023年までに同社の年間収益は予想を大きく下回り、多額の財務損失につながった。

今後の見通し

Shapewaysの業務停止により、同社の3Dプリントサービスを利用し、フィギュアなどのコレクターズアイテムを販売してた卓上ゲーム市場が大きな影響を受けると予想されている。もうひとつ注目すべき要素として、同社のソフトウェア部門が、ShapewaysのCEOであるGreg Kress氏とソフトウェア部門のエグゼクティブであるGreg Rothman氏が100%所有するOTTO dms, Inc.に売却されたことが挙げられる。これは、経営陣が3DP Custom Manufactureへの負債の影響を受けずに済むように、価値のある資産を隠匿することができたことを意味している可能性がある。
Shapewaysの資産の技術的価値と市場への浸透力を考えると、負債以上の価値を見出す企業によって買収される可能性も残されている。例えば、現在多くのプライベートエクイティ企業がサービスビューローの統合を進めており、適切な取引を成立させることは可能と思われる。


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