廃棄される羊毛をリサイクルし3Dプリント材料として使用するロボットアーム「Flocks Wobot」
オランダ人デザイナーのクリスティアン・マインデルツマ氏率いるプロジェクトチームは、循環型経済へのアプローチの一環として、水や他の材料を加えることなく、羊毛(ウール)を層ごとに堆積させ、あらゆる種類のオブジェクトを作製できる3Dプリントロボットアーム「FLOCKS Wobot(以下 Wobot)」を開発した。
同団体の調査によれば、スペインでは毎年6,000トンの上質ウール、18,000トンのファインウール、6,500トンの低質ウールが生産されており、オランダでは毎年150万kgの羊毛が捨てられ、環境への影響が懸念されている。
しかしウールは、丈夫な上にリサイクルも可能な生分解性があり、優れた断熱性と透水性を備え、耐火性(最高560℃)を備えるなど、ポリスチレンなどの他の素材に比べて多くの利点を有している。
プロジェクトチームは、産業用ロボットシステムなどを開発するオランダの企業 TFT(Tools for Technology)と共同で、ウールが有する多くの利点と3Dプリンティング技術を活かし、ロボットアームWobotを開発。
Wobotは、天然のバージンウールとリサイクルウールをブレンドし、色を加えるなど豊かな表現が可能で、一般的な樹脂用3Dプリンタのように羊毛を積層して、立体物を製作できる。チームはこのシステムを利用して、オランダ・ゲルダーランドの家具工房と共同で、生産工程から回収された色とりどりのウール端材を使ったオリジナル家具を試作した。
Wobotは、デザインと建築における再生可能な天然素材の使用を調査するV&A(ヴィクトリア&アルバート博物館)のキュレーションプロジェクト「MAKE GOOD」の一環として開催された「Re-forming Waste(廃棄物の再形成)」と、Cuypershuisで開催された「Onder de wol(廃棄物について)」の2つの展覧会の開催期間中に開発され、2023年11月22日から2024年10月まで、ロンドンのV&Aで展示されている。
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