Daimler Buses、3Dプリントでスペアパーツを供給

3D SystemsとDaimler Busesが提携、3Dプリント技術による分散型生産で迅速な修理と供給網の最適化を実現

世界最大級の商用車メーカーの一つである Daimler Truck and Buses(以下 ダイムラー・バス)は、3Dプリンタメーカー 3D Systems と提携し、3Dプリント技術を活用した新しいスペアパーツ生産方式を発表した。この革新的なソリューションにより、必要な部品を現場に近い場所でオンデマンド生産できるようになり、修理時間の短縮、車両のダウンタイム削減、サプライチェーンの最適化が可能となる。
このパートナーシップには、製造業向けのAIを活用したソフトウェア企業 Oqton および、セキュリティテクノロジー企業 Wibu-Systems も参加している。Oqtonは3DXpertソフトウェアを通じて3Dプリントプロセスを効率化し、Wibu-Systemsは設計ファイルのセキュリティとアクセス管理を強化することで、ダイムラー・バスの知的財産を保護する。これらの技術を組み合わせることで、商用車業界におけるメンテナンスとスペアパーツ供給の新たなスタンダードが確立される可能性がある。

Image : Daimler Truck

サプライチェーン問題を解決

従来の供給方式では、商用車のピンやカバーなどの小さな部品一つを交換するために長期間の待機が発生するため、部品の発注から配送までに数週間を要することがあった。その間、バスやトラックは運行できず、企業にとっては大きなコスト負担となっていた。今回の3Dプリントソリューションにより、ダイムラー・バスの認定パートナーはローカルで必要な部品を即時に生産できるようになる。この技術は現在、ダイムラー・バスが提供するオンラインプラットフォーム「Omniplus 3D Printing License eShop」を通じて認定サービスプロバイダーに提供されている。
パートナー企業による試算では、従来の方法と比較して納品遅延を最大75%削減できるとされており、これにより車両の早期復帰が可能となる。

Image : Daimler Truck

3Dプリントの仕組み

本システムは、ダイムラー・バスが提供するデジタルスペアパーツファイルを「Omniplus 3D Printing License eShop」を通じて配布することで機能するため、認定サービスプロバイダーは必要な部品のライセンスを購入し、3D Systemsの「SLS 380」産業用3Dプリンタを用いて製造する。さらに、Wibu-Systemsのデジタル著作権管理ツールにより、認定プリンタのみがライセンスファイルを使用できる仕組みとなっている。このセキュリティ対策により、設計データの不正流用を防ぎ、ダイムラーの知的財産を保護しながら安全な運用が可能となる。
現在、本ソリューションはSLS 380プリンタによる高品質なプラスチック部品の製造に対応しているが、将来的には金属3Dプリンタを含む他の3D Systems製プリンタにも対応を拡大するとしている。

SLS 380 printer

3DXpertによる効率化

本システムの核となる統合プラットフォーム3DXpertは、設計からプリント準備までのプロセスを簡素化し、サービスプロバイダーが迅速に部品を生産できるようにする。また、このソリューションは既存のシステムに容易に組み込めるため、導入ハードルが低いう。
近年、商用車業界では3Dプリントの活用が加速しており、今後も積層造形技術の成長が期待されている。3D Systemsは、ハードウェアや材料の提供だけでなく、ソフトウェアや専門知識の提供を通じて、業界全体のデジタル製造移行を支援していく方針を示している。


関連記事

3DP id.arts の最新投稿をお届けするニュースレターへの登録はこちら

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でid.artsをフォローしよう!

     

ページ上部へ戻る