3Dプリント技術で原子力部品の検査時間を85%短縮、放射性材料や核燃料の検査にも応用
オークリッジ国立研究所(ORNL)は、3Dプリント技術と新たに開発したソフトウェアアルゴリズムにより、原子力部品の検査時間を従来比85%短縮。この技術は、現在アイダホ国立研究所(INL)でも放射性材料や核燃料の検査に向けた応用が進められている。
このソフトウェアは、米国エネルギー省(DOE)の先進材料・製造技術(AMMT)プログラムの支援を受けており、新しい材料や製造技術の商業化を促進することが期待されている。
3Dプリントされた原子力部品の品質は、X線を用いたコンピュータ断層撮影(CT)スキャンで内部構造の弱点や欠陥を確認するが、従来の方法では高精度な検査には多くの時間を必要としてた。ORNLが開発したアルゴリズムは、機械学習を活用して画像の迅速な再構成と分析を行うことで、コストや時間、必要なスキャン数を大幅に削減している。
放射性材料や核燃料の検査に向けて応用が進められているINLでは、このアルゴリズムを使って30以上の3Dプリント部品のサンプルをわずか5時間でスキャン。従来の方法なら30時間以上かかる一連の作業を大幅に効率化した。今後、放射性材料や燃料への応用が期待されている。
INLの研究チームは、放射線被ばくによるリスクを減らすため、原子炉から取り出した材料の検査を遅らせている。特に、長時間のX線CTスキャンは放射線が検出器に蓄積して検出器の寿命を縮めるだけでなく、画像の精度も低下させる。ORNLが開発したアルゴリズムによりスキャン時間が短縮されれば、被ばく量の軽減、待機時間の短縮、高品質データの取得、そして性能モデルへの迅速なフィードバックが可能になる。
INLのグループリーダーであるビル・チュイラッジ氏は「このアルゴリズムを使うことで、放射性物質や燃料のスキャン時間を短縮し、作業員の安全性向上と新材料の評価速度が向上するでしょう。将来的には、新しい原子力技術のライフサイクルが短縮され、送電網での早期実装が実現するはずです」と述べている。
関連記事
3DP id.arts の最新投稿をお届けするニュースレターの登録はこちら
最新情報をお届けします
Twitter でid.artsをフォローしよう!
Follow @idarts_jp