3Dプリント技術と生きたバクテリアが空気中のCO₂を吸収・鉱物化する新技術
イタリアのヴェネツィアで開催されている現代美術の国際美術展覧会「ベネチア・ビエンナーレ 2025」カナダ館が、生きたシアノバクテリア(藍藻)を含んだ3Dプリント構造物を発表した。この構造物は空気中の二酸化炭素(CO₂)を吸収し、鉱物に変換して固定化する革新的な3Dプリント技術であり、持続可能な建築と地球環境保護の未来を提示している。
このプロジェクトを手がける Living Room Collective は、スイスのチューリッヒ工科大学の研究施設で生きたシアノバクテリア(藍藻)を内部に含んだ3Dプリント構造物を製作。この微細な生物は、光合成と炭素鉱物化の二重機能を持ち、空気中のCO₂を取り込み、安定した鉱物(炭酸塩)として固定する能力を備えている。3Dプリント時に生きたバクテリアを素材に混ぜ込むことで、後から注入する手法とは異なり、より自然で持続的な成長する構造体を形成することができる。
この構造物は、適切な条件が揃えば自己修復しながら再生可能である一方、気温や湿度によって活動が鈍化するなど、不安定さも持つ。そのため研究チームは、素材の生物的特性と環境変化との関係をモニタリングしながら、再生型素材の可能性と限界を探っている。
この展示は2025年5月10日から11月26日まで開催され、建築・環境・生物工学の未来的交差点として、持続可能な建築設計への新たな視点を提供している。
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