3Dプリントで実現した水で溶ける回路基板

FDM方式3Dプリンターで作れる水溶性回路基板「DissolvPCB」

メリーランド大学、ノートルダム大学、ジョージア工科大学の研究者らは、水に溶かして再利用できる3Dプリント回路基板「DissolvPCB」を開発した。この基板は、一般的なFDM方式の3Dプリンターで製造でき、材料の98%を回収可能。電子基板を水に浸すだけで分解し、金属素材を再利用できる環境負荷の少ない新技術として注目を集めている。

基板の素材には、水溶性樹脂である「PVA(ポリビニルアルコール)」を使用し、導電体には液体金属合金「EgaIn(エガイン)」を採用。使用後は水に浸すことでPVA部分が溶解し、液体金属が再び小さな球状にまとまり再利用できるため、初期試験では、98%の材料回収率を達成している。

この成果は、韓国で開催された国際会議「ACM UIST(ユーザインタフェースソフトウェアとテクノロジー会議)」で発表され、最優秀論文賞およびサステナビリティ特別賞を受賞した。また、研究チームはリサイクル可能な電子機器設計のためのオープンソース・プラグインも公開している。

開発リーダーであるメリーランド大学博士課程のZeyu Yan氏は、「この技術は電子基板のリサイクル方法を根本から見直す第一歩となる」とコメント。さらに、電子機器の最終組立地で基板を製造・再利用できる未来を構想している。
また、Yan氏の指導教員であるHuaishu Peng准教授も、「特別な設備を必要とせず、FDM方式3Dプリンターと安価な材料で誰でも持続可能な回路基板を作ることができる」と強調しており、経済性と環境配慮を両立するこの取り組みが、電子製造分野の新たな潮流となる可能性を示した。


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