米陸軍が開発した氷と天然繊維の3Dプリント建築技術が極地での建設を変える
米陸軍工兵研究開発センター(ERDC)の寒冷地研究所(CRREL)と建設工学研究所(CERL)から構成された研究チームは、氷と天然繊維を組み合わせた新しい3Dプリント技術を開発した。この技術は、過酷な寒冷地での迅速な建築を可能にし、輸送負担や環境への影響を大幅に軽減することが期待されている。
US Army Corps of Engineers
この技術は、寒冷地における兵士達を寒さから守るだけでなく、環境負荷の少ない仮設構造物を即座に建築することを目的としている。研究チームは「氷や雪といった現地に豊富に存在する自然資源を活用することで、建築資材の輸送量を削減しつつ、状況に応じた構造物を自動的に構築できます」と説明している。
現在は小規模な試験段階の技術だが、今後はより大型の3Dプリントシステムを用いてスケールアップし、CRRELの冷却試験施設で材料の耐久性評価を進めることを予定している。
今回のように氷を用いた3Dプリントはこれが初めてではない。2022年には、カーネギーメロン大学が微細な氷構造の3Dプリント手法を発表しており、複雑な内部流路を形成するための犠牲構造として利用されている。この技術は、ソフトロボットや柔軟な電子機器、さらには血管のような流路を持つ人工組織の製造にも応用が期待されている。さらに、2018年には中国・浙江大学の研究者が、電子線を用いた「氷電子線リソグラフィー(iEBL)」を発表し、従来の手法と比べて工程数を半減できる画期的なナノ加工技術として注目された。
これらの研究は、氷という一見儚い素材が、建築、製造、医療、ロボティクスなど多様な分野に革新をもたらす可能性を示している。
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