3Dプリント技術で生まれた生分解性のシェルターが、木の成長を守る新しい土壌環境を提案
イスラエルのテクニオン工科大学のマテリアルトポロジー研究ラボ(MTRL)とワイズマン科学研究所の共同研究チームは、3Dプリンターで土を積層して作る生分解性のシェルター「TreeSoil」を開発した。この構造物は、若木の周囲に微気候(マイクロクライメート)を形成し、風や日差し、乾燥から守ることで、初期成長を助ける。

「TreeSoil」は、ロボットによる3Dプリント技術を活用して、土や粘土、砂、植物由来のバインダーを混ぜ合わせた素材を層状に積み上げて作られるモジュール型の建築システムで、各ユニットはレンガのように組み合わせることができ、中心に植えられた若木のための「微気候(マイクロクライメート)」を形成する。

設計は地域の気候データ(太陽放射量、風向、湿度など)をもとに最適化され、通気性や日陰を生み出す形状を採用。さらに土の持つ熱容量が温度と湿度を安定させ、樹木の根の定着や初期成長を助ける。これにより、砂漠地帯など厳しい環境でも苗木を守り、環境再生に寄与することが期待されている。

このシステムは生分解性であり、時間とともに自然に還る点も特徴的だ。樹木が成熟する頃には、構造体はゆっくりと分解し、養分として再び土に戻る。まさに「自然に生まれ、自然に帰る」サイクルを体現した3Dプリント建築と言える。

製造にはKUKA製ロボットアームとWASP社の大型3Dプリンター「LDM XXXL」が使用され、現場で接着剤を使わずに組み立てが可能。建築を一時的かつ再生的な存在として捉える「TreeSoil」は、テクノロジーと生態系の調和を示す新しい建築思想を提案している。
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