日本初! 3Dプリント技術導入トイレが静岡県に誕生

日本初!静岡県に革新的な3Dプリント建築が完成、建設業界の課題解決に向けた新たな一歩

静岡県に本社を置く日本の住宅メーカー百年住宅は、日本初となる建築用3Dプリント技術とプレハブ建築のWPC工法(プレキャストコンクリートパネルを用いたプレハブ建築工法)を融合させた「ハイブリッド建築」を開発し、2025年2月、静岡市駿河区桃園町のSBSマイホームセンター静岡展示場において、同工法による公衆トイレを完成させた。

SBSマイホームセンター静岡展示場に完成したトイレ建屋

開発の背景

近年、地震や台風、豪雨などの自然災害が頻発し、高耐久・高耐震な建物が求められている。しかし、従来の鉄筋コンクリート(RC)造は、職人不足や資材高騰、長い工期といった課題を抱え、小規模建築には普及しにくかった。一方で、コンクリートプレハブ住宅のWPC工法は工期短縮やコスト削減に寄与するが、デザインの自由度に制約があった。そこで、百年住宅は建設用3Dプリンターを活用し、WPC工法の弱点を補う新たな建築手法として「ハイブリッド建築」を開発。50年以上のプレキャストコンクリート(PC)パネル製造技術と、3Dプリンター建築ベンチャー・セレンディクスとのオープンイノベーションにより誕生した。

3Dプリント特有の積層模様

ハイブリッド建築の特長

今回完成した公衆トイレは、PCパネル部材を現場で組み立てるWPC工法を採用。その後、意匠壁として3Dプリンターで制作した部材を設置し、鉄筋コンクリートでは難しかった円形や曲線、表面の凹凸デザインを実現。

3Dプリント後の各部材

13種類に分かれた3Dプリント部材はすべて百年住宅小牧工場で製作。中空構造を採用することで軽量化を実現。大型トラックで容易に運搬できるよう設計されている。現地では中空部分にコンクリートと鉄筋を挿入し、強固な構造体として完成する。
この工法により、通常の鉄筋コンクリート構造と比較して組立工期を約1/4に短縮。建設職人不足による人件費高騰の問題を解決しながら、高耐震・高耐久性能を維持することに成功した。住宅をはじめとするさまざまな建築への応用が期待され、今後の大地震や国の住宅ストック政策にも対応可能な設計となっている。

3D出力の壁(左)とWPC工法(右)のハイブリッド建築

建築用3Dプリンタの詳細と他の3Dプリンタ建築との違い

  • オランダTAM社製アーム式3Dプリンターを採用
  • 移動が比較的容易で、柔軟な施工が可能
  • モルタルと添加剤を独自配合した材料を使用
  • 3Dデータを基に自動出力し、精密な施工を実現
  • 通常はオペレーターと作業員の2名で部材製造が可能
  • 構造躯体の安全性・耐久性は、既存のPC工法により確保(最長100年の地震保証付)
  • プレハブ工法により工期短縮と品質の安定化を実現
  • 比較的簡単に確認申請が許可される設計
  • すべてコンクリート(モルタル)製のため耐火性能が高い

中空部分へコンクリートと鉄筋を差し込み連結させる

建築概要

建築地: 静岡県静岡市駿河区桃園町 SBSマイホームセンター静岡展示場内
延べ面積: 54.97m²
階数: 1階
用途: 公衆トイレ
構造: 鉄筋コンクリート造(PC板組立工法)
工期: 約2ヵ月(部材の組立期間:約4日間)
建築主: SBSマイホームセンター株式会社
設計施工: 百年住宅株式会社

3Dプリント技術とプレハブ工法を融合させたハイブリッド建築は、未来の建築のあり方を大きく変える可能性を秘めており、百年住宅は今後も新技術の開発と導入を進め、より安全で持続可能な建築の実現を目指すとしている。


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