3Dプリント技術×デジタル染色で業界横断の変革へ、食品からファッションまでをつなぐ統合プラットフォーム構想
3Dプリンターを核に代替タンパクの3Dプリント技術を展開する Steakholder Foods は、2025年9月22日、デジタル染色技術のパイオニア企業 Twine Solutions を買収すると発表した。この買収により、食品3Dプリンターの技術とTwineの染色プラットフォームを統合し、食品からファッションまでを横断する「スマート製造」モデルの実現を目指し、個別化需要、短納期対応、環境負荷低減を同時に達成し、供給網の在り方に変革をもたらす構想だ。
今回の買収により、Steakholderは食品分野での3Dプリント技術に加え、Twineの水無染色システムを取り込み、異なる産業を横断するデジタル製造基盤を構築する。合意条件では、Twine株主がSteakholder株式の約25%を取得し、マイルストーン達成で最大35%まで拡大する可能性がある。
Twineは世界初の水無デジタル染色システムを実用化し、特許10件(成立・出願中)を保有する。これにより従来の染色工程に必須だった大量の水使用を不要とし、環境負荷を劇的に低減した。さらに、糸の色をオンデマンドで内製化できるため、縫製・編み物・刺繍用途における短納期化と高いカスタマイズ性を実現している。同社はZaraやCOATS Groupなど大手企業と提携し、累計8,000万米ドル以上の資金調達実績を持つ。
一方、Steakholderは代替タンパク食品を対象にした3Dプリンターの先駆者であり、従来の食品製造を刷新する技術を展開してきた。今回の統合により、「食品×ファッション」の両産業でデジタル生産と供給網の最適化を進め、多角的な収益基盤の強化を狙う。
肯定的側面としては、①環境配慮(水使用量削減)、②市場対応力(多品種少量・短サイクル)、③個別化需要(パーソナライズされた製品)への即応がある。一方で、認証基準や安全規制の差異、装置スケールアップ時の品質維持、株式希薄化リスクなど課題も指摘される。これらを克服するには、段階的な市場投入と透明性ある投資家対応が不可欠である。
Twineはすでに100万米ドル超の受注残を抱え、10月末にシンガポールで新製品「TwineX1」の発表を控えている。買収後はSteakholderの3Dプリンター技術と組み合わせ、食品・ファッション両産業のデジタル転換を推進し、サステナブルかつ柔軟な生産体制を構築する見通しだ。
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