オランダ海軍、3Dプリンタを活用して部品生産

オランダ海軍、UltiMakerの3Dプリント技術を活用した船上での部品生産により即時対応能力を強化

オランダ海軍は、船舶上でのオンデマンド部品生産を実現するため、UltiMaker の3Dプリンタ「Sシリーズ」を導入した。これにより、必要な部品を現場で迅速に製造でき、作業効率やリソースの最適化が図られている。
この動きは、既に2019年にオランダ王立空軍がUltiMakerの「UltiMaker 3」および「UltiMaker S5」3Dプリンタを導入し、戦闘機のメンテナンスや修理に必要な治工具やエンジン部品の保護用カバーの開発に利用していることに続くものである。
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UltiMakerの発表によれば、Sシリーズの3Dプリンタと多様な素材が実際に船内に設置されている。承認された部品はデジタルカタログに追加され、乗組員はABSやPETG、カーボンファイバー複合材など多様なフィラメントを使用して、必要な部品を選択して直接プリントすることができる。この仕組みにより、必要な部品をその場で製造できる体制が整い、時間とコストを大幅に削減している。
また、海軍は厳しい運用要件やサイバーセキュリティ基準を満たすため、UltiMaker CuraやDigital Factoryといったソフトウェアを採用。これらのツールは、セキュアで信頼性の高い生産環境を提供し、IT規範にも適合している。

船上で使用される部品には耐久性が求められるが、陸上や空中の部隊向けには温度変化に強い特性が重要視されている。例えば、陸上車両に取り付けられるアンテナは、直射日光下での長時間の使用に耐えなければならないが、オランダ海軍の活動領域は広範囲にわたるため、さまざまな過酷な環境に適応できる部品が必要とされている。

3Dプリントされたウォーターフィルター

PETG素材は、高温、摩耗、化学物質、湿気に強い特性を持ち、例えば海水耐性が求められるウォーターフィルターの交換部品に使用されており、カーボンファイバー複合材は、軽量かつ強度が必要な上陸用舟艇のアンテナ支柱などに用いられている。これにより、通信と安全を担保しつつ、軽量化も実現した。

3Dプリントされた上陸用ボートのアンテナブラケット

UltiMakerの3Dプリントシステムを利用することの優位性は、これらの多様な部品をオンデマンドで現場で製造できる柔軟性にある。即時対応が必要なミリタリーオペレーションにおいては、交換部品の在庫管理や輸送に依存せず、必要に応じてその場で製造・交換できる点が大きな利点となる。さらに、素材の選択肢が豊富であるため、環境条件に適した部品の製造が可能であり、機能性とコスト効率を両立できる点も重要なメリットである。


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