電子廃棄物を3Dプリント用材料にリサイクル

電子廃棄物のハードプラスチックを3Dプリント用フィラメントに再生する新施設をオーストラリアに開設

電子機器などの廃棄物リサイクルを専門とする Renew IT は、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州レーンコーブにある同社施設に、ニューサウスウェールズ大学(UNSW)が設計した「MICROfactorie」モジュールを導入した。​この技術により、古いプリンターやパソコンなどの電子廃棄物から得られるハードプラスチックを、3Dプリント用の高品質なフィラメント素材に再生することが可能となる。

電子機器からの廃棄物は増加する一方だが、その多くが埋立地に送られている。​特に、電子廃棄物に含まれる硬質のABSプラスチックは市場価値が低く、リサイクルが難しいとされてきた。​しかし、UNSWの材料研究技術センター(SMaRTセンター)によって開発されたMICROfactorieモジュールは、この問題を解決する画期的なものであり、​リサイクルされた硬質プラスチックから競争力のある価格で3Dプリント用フィラメントを製造することで、環境への影響や海外からの輸入などに伴う輸送による負荷を軽減することが期待される。

オーストラリアで使用される3Dプリント用フィラメントのほとんどは石油化学製品から作られ、海外から輸入されているが、UNSW SMaRTセンターの創設者兼ディレクターであるヴィーナ・サハジワラ教授は次のように述べている。
「廃棄物から材料を回収することは、持続可能な未来に向けて重要な役割を果たします。​限られた供給の材料を再利用することで、国内の製造能力を強化し、循環型経済の実現に寄与します。​廃棄物は経済的、社会的利益をもたらす資源と見なすべきです」
この革新的な取り組みは、電子廃棄物の持続可能な再利用と3Dプリント技術の発展に大きく寄与するものであり、今後の展開が期待される。


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