3Dプリンタでダム用大型水力タービンを製造

米国ORNL、ダム向け大型水力タービンランナーを3Dプリント技術で製造

米国エネルギー省のオークリッジ国立研究所(ORNL)は、ダムで使用される水力タービンランナーを3Dプリント技術を活用して製造するプロジェクト「Rapid RUNNERS」を進めている。このプロジェクトは、伝統的な製造手法と3Dプリントを用いた先進的な技術を組み合わせ、ランナーの国内生産を実現し、再生可能エネルギー分野における製造業を活性化させることを目的としている。

ランナーとは、水力タービンの回転部分であり、水の圧力と流れを電力に変換する重要な役割を担う。このプロジェクトは、3年間で1,500万ドルの予算が投じられ、3Dプリント技術を駆使して大型ランナーを製造するシステムを構築する。特に注目すべきは、ロボットによる金属3Dプリントと従来の加工技術を組み合わせることで、大型金属部品の生産を劇的に短縮する点にある。
現在、これらの大型金属部品はほとんどが海外で生産されており、部品の故障時には長期的な製造期間と輸送に伴うリードタイムが発生していた。これにより、ダムの稼働を停止時間が増え、エネルギーの供給に大きな影響を与えてきた。ORNLの技術担当者アダム・スティーブンス氏は「3Dプリント技術を活用することで、部品の製造期間を大幅に短縮し、国内産業基盤を強化することが可能だ」と述べている。

テネシー州のオコイーダム用のランナーを製造

従来の手法では、ランナー1つを製造するのに約18か月かかるが、3Dプリントを使用することで大幅に短縮することが期待されている。また、タービンの複雑な形状や耐久性を高めるための特殊なコーティングの適用が可能になる点も、3Dプリント技術の強みである。
本プロジェクトは、テネシー川流域開発公社(TVA)との協力のもと、5フィート(約1.5メートル)から15フィート(約4.6メートル)の大型ランナーを試作し、テネシー州のダムに設置することを目指している。これにより、米国国内での再生可能エネルギーの安定供給に貢献し、製造業の国内回帰を促進するとしている。


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