大林組の3Dプリント実証棟が完成

国土交通大臣認定を取得した国内初の3Dプリンター実証棟「3dpod」が完成

日本の総合建設会社である大林組は、2022年5月から大林組技術研究所において3Dプリンターによる建屋建設を開始し、このたび3Dプリンター実証棟「3dpod」が完成したことを発表した。

3dpodは、セメント系材料を用いた3Dプリンターによる建築物として、国内で初めて建築基準法に基づく国土交通大臣の認定を取得した構造形式の建屋で、壁や床といった地上構造物の全ての部材に3Dプリンターを用いており、さらに壁は全て現地で直接プリント。電気、空調、水道などの設備に加え、室内には断熱も施している。

3dpodの「pod」とは、蚕(かいこ)の「繭(まゆ)」、豆の「さや」といった意味。壁や天井など建物の平面形状がピーナッツの「さや」のような形をしていることや、建屋の外観が3Dプリンター建築ならではの有機的な球状の「繭」のような形をしていることが名前の由来となっている。

建物形状は、プリント範囲内で最も少ない材料で最大の空間が得られるようにデザインされている。壁を複数層にしてケーブルや配管ダクトを配置することで、通常の建築物と同様に室内利用が可能。3Dプリントによる躯体工事と同時に断熱、設備工事の一部を行うことで省力化も実現した。

大林組は、2014年から建設用3Dプリンターの研究を開始し、着実に研究開発を進めており、鉄筋や鉄骨を使用しない3Dプリンター用特殊モルタルや、超高強度繊維補強コンクリート「スリムクリート®」による構造形式を開発し、2019年には、建築物や土木構造物での利用を想定したシェル型ベンチを試作。当時、3Dプリンターで製造した構造物としては国内最大規模のもので、業界でも注目を集めた。
この実験用モックアップの試作を経て、建設用3Dプリンターの実用化を目指した同社は、2022年5月に建築基準法が定める建築物の建設プロジェクトをスタートし、「(仮称)3Dプリンター実証棟」の建設に着手。2023年3月に3dpodが完成した。

3次元で製造したモデルを一貫利用した設計・製作フローを構築するとともに、プリント経路の自動生成や傾斜部の積層性、障害物との干渉状況を確認するソフトウェアを開発したことで有機的なデザインが誕生。

3dpodの完成は、従来とは異なる未来の建築を感じさせるもので、複雑なデザインや強度・耐久性を備えた構造物を実現できるセメント系材料を用いた3Dプリンター建設の研究をさらに進め、多様なニーズに応えるとともに、建設技術の未来を拓く技術となるよう今後も技術開発を進めるとしている。


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