MyMiniFactoryがThingiverseを買収

MyMiniFactoryがUltimakerからThingiverseを完全買収、クリエイター中心の3Dプリント市場へ転換

MyMiniFactory は、世界的に利用されている3Dプリンター向け設計データ共有サイト ThingiverseUltimaker から買収し、約800万人規模のユーザーを単一のエコシステムへ統合した。これにより、3Dプリント技術を活用するクリエイター、エンジニア、ホビーユーザーがより継続的に活動できる環境づくりが進むことになる。

今回の買収によりThingiverseは「SoulCrafted」というブランドの一部となる。SoulCraftedは、人間が制作した設計データを重視し、人の目による選定や評価を行う仕組みを特徴とする。近年はAIが自動生成した3Dデータが急増しているが、その中には実際に3Dプリンターで造形できないデータも多く、クリエイターの価値低下や品質低下が課題となっていたが、今回の戦略は、こうした流れに対する明確な対抗軸として位置づけられる。

MyMiniFactoryは過去10年にわたりクリエイター優先モデルを運営し、これまでに約1億ドル以上を制作者コミュニティへ還元してきた実績を持つ。単なるファイル共有ではなく、設計者が収益を得ながら活動を続けられる仕組みを提供してきた点が大きな特徴である。同社は2024年にYouMagineも取得しており、従来は無料共有中心だった設計データサイトを、技術系クリエイターが収入を得られるプラットフォームへ転換した実績もある。
さらに同社は「Scan the World」というオープンソースプロジェクトも運営しており、文化財を3Dスキャンしてデジタル保存する取り組みを進めている。これは3Dプリント技術が単なる趣味や製造用途にとどまらず、文化保存や教育など社会的分野にも広がっていることを示す事例である。

今後のThingiverseでは、これまでのオープン共有文化は維持しつつ、クリエイターが長期的に活動できるためのビジネスツールが導入される予定で、具体的には、設計者がファンを獲得し、作品を収益化できる環境整備が進む見込みであり、3Dプリンター利用者にとっても質の高いデータへアクセスしやすくなる可能性が高い。
一方で、AI生成データを排除するわけではなく、「実際に造形可能で、人間が責任を持って公開したデータ」を優先する姿勢が示されている。これはAI活用と人間の創造性のバランスを模索する動きとも言える。


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