米海兵隊が日本企業と提携し、3Dプリンターを活用した部品生産をアジア太平洋で強化
米海兵隊は、装備品の部品供給を強化することを目的に、日本企業と提携し、3Dプリンターを活用した生産体制をアジア太平洋地域に拡大した。長期運用される軍装備の部品不足という課題に対し、3Dプリント技術を用いた現地生産で即応性を高める戦略である。

米海兵隊の整備部門である Marine Depot Maintenance Command(MDMC)は、日本の企業 MadeHere(旧 3D Printing Corporation)と協定を締結し、部品の生産および修理を日本国内で実施できる体制を整えた。
軍用車両や艦艇、航空機などの装備は数十年単位で運用されるが、それらの部品を製造していた企業が市場から撤退したり、製造ラインを終了したりすると、必要な部品が手に入らなくなる。結果として、在庫探索や特注生産に時間と高額な費用がかかり、装備の稼働率が低下するリスクが生じる。
この課題に対する有効な解決策として注目されているのが、3Dプリンターを活用したデジタル製造である。従来は金型や専用工具を保管し、再び製造ラインを立ち上げる必要があったが、現在は設計データさえあれば、金属や樹脂を材料として必要な部品をその場で製造できる。3Dプリント技術に加え、CNC加工や射出成形なども組み合わせることで、多様な部品への対応が可能となる。

MadeHereは、金属・樹脂の3Dプリンターをはじめ、CNC加工や射出成形、炭素繊維強化プラスチック加工、表面処理まで幅広い製造技術を持つ企業である。一方、MDMCは設計審査や品質管理、技術支援を担い、両者が連携して部品を共同生産する体制を構築する。
この取り組みの中核となるのが、米国防総省のデジタル基盤「Digital Manufacturing Exchange(DMX)」である。承認済みの設計データを安全に共有し、金型を移送することなく複数拠点で同じ仕様の部品を製造できる仕組みで、演習「Trident Warrior 2025」では、日本側企業がこのネットワークに接続し、安全なデータ転送と現地生産の実証に成功した。

この取り組みの背景には地理的課題がある。米軍の大規模整備拠点は主に米本土に集中しており、太平洋地域の部隊は遠距離から部品を調達する必要があった。日本で3Dプリント技術を活用することで、装備が運用される地域の近くで迅速に部品を確保できる体制へと移行する。同様の動きはカナダでも進んでおり、Dalhousie UniversityとDRDCが老朽化潜水艦向けの金属積層技術を研究している。また、米海軍は強襲揚陸艦USS Bataanに金属3Dプリンターを搭載し、洋上で部品を製造する体制を導入した。いずれも供給網への依存を減らし、即応性を高める取り組みである。
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