- 2025-9-5
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チェコ発の3Dプリント技術がルクセンブルクの住宅危機解決に挑む
ルクセンブルクで初めてとなる3Dプリント住宅が誕生した。建設を手掛けたのはチェコの建設・産業サービス企業 ICE Industrial Services で、同社は3Dプリント技術を活用した建築分野で実績を重ねており、今回の住宅もわずか27時間で主要構造を完成させた。
省エネ設計と持続可能性を兼ね備えたこの住宅は、欧州で深刻化する住宅不足への解決策として注目を集めている。
ルクセンブルク北東部ニーダーアンヴェンに完成したこの3Dプリント住宅の延床面積は約56㎡で、リビング、キッチン、バスルーム、廊下、多目的室を備え、屋根にはソーラーパネルと蓄電池を設置し、エネルギー自給型のモデルハウスとなっている。
建設に要したのはわずか27時間だが、基礎工事から仕上げまでを含めた総工期は約10週間。総費用は約32万ユーロ(約5,540万円)で、従来の住宅建設に比べコスト削減と工期短縮を実現した。
この物件には既に約20件の入居希望が寄せられており、若い世代が高額な住宅市場に参入する新しい道を拓くと期待されている。
この住宅のもう一つの特徴は、狭小地を有効活用できる点だ。通常の建築が困難な敷地でも建設が可能で、都市部の土地不足を補うモデルとして注目されている。さらに環境面でも優れており、建設時の二酸化炭素排出量はわずか4.4トンに抑えられ、使用素材はリサイクル可能な循環設計となっている。
ルクセンブルクでは年間7,000戸の新規住宅が必要とされるが、実際の供給は約4,000戸に留まっている。
今回の取り組みはチェコ国内でも注目を集めており、同国初の浮遊型3Dプリント住宅「Prvok」に続き、国際市場での競争力を示す成果となった。ルクセンブルクの自治体は今後、未利用地の活用を視野に同様のプロジェクトを検討しており、欧州全体の住宅問題解決に広がる可能性がある。
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