- 2025-12-29
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AIが設計したロケットエンジンを3Dプリンターで製造し燃焼試験まで完遂
ドバイ拠点のエンジニアリング企業 LEAP 71 は、独自に開発したAIエンジニアリングモデル「Noyron」を用いて、人が設計に関与せずAIが自動生成したロケットエンジンを、わずか3週間で金属3Dプリンターで製造し燃焼試験まで成功させた。AIが性能要件から直接ハードウェアを生み出すこの取り組みは、3Dプリンターと3Dプリント技術を活用した宇宙開発のスピードと可能性を大きく広げる成果である。

今回テストされたのは、推力約20kN(約2トン)のメタン液体酸素ロケットエンジン2基で、一般的なベル型ノズルと、理論的に効率が高いとされるエアロスパイク型の2種類が用意された。どちらも人工知能が自律的に設計を行い、人間は図面を引いていない。この中核となるAI「Noyron」は、単なる形状生成AIではく、物理法則、材料特性、製造制約、運用条件といったエンジニアリングの知識を内部に組み込み、必要な性能を入力するだけでその性能を満たす実際に作れる構造を導き出す。

製造には高耐熱の銅合金(CuCrZr)が用いられ、ドイツの金属3Dプリンター企業 Aconity3D が担当。金属3Dプリント技術は、内部が複雑に入り組んだロケット燃焼室や冷却構造を一体で成形できるため、AI設計との相性が非常に高い。
燃料として採用された液体メタンは、次世代ロケットで注目される一方、温度や圧力で密度が大きく変化する扱いの難しい燃料である。今回、ベル型エンジンでは燃焼効率93%以上という初回試験としては非常に高い数値を記録。エアロスパイク型は起動時の挙動に課題が残ったものの、設計通りの燃焼圧力に到達し、基本設計の妥当性が確認された。

この成果が示すのは、「設計→試作→失敗→改良」という従来の長い開発サイクルが、AIと3Dプリンターにより大幅に短縮できる可能性である。過去18か月でLEAP 71は毎月平均1基のロケットエンジンを実際に燃焼試験しており、AIが現実世界のデータを学習し続けている点も重要だ。
今後は推力200kN級、さらに将来的には2000kN級の大型エンジンも視野に入れており、世界最大級の金属3Dプリント設備を活用した開発が進められている。
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