食感・香り・弾力を精密制御、レーザー調理×3Dプリント技術が実現する新しい食文化
米国コロンビア大学の研究チームが、多波長レーザーと3Dプリンターを組み合わせ、14種類の食材を用いた三皿のコース料理の調理に成功した。層ごとに加熱を制御し、硬さや弾力などの食感まで精密に設計できるこの技術は、植物由来食品の満足度を高め、環境にも優しい新しい“食のものづくり”として、3Dプリンターが「食感をデザインする時代」を切り開こうとしている。

コロンビア大学のエンジニアチームが発表したこの新しい技術は、従来の3Dプリント調理とは一線を画すものだ。これまでの3Dプリント食品は、ペースト状や粉末状の素材を押し出して形を作り、オーブンや電子レンジで加熱するのが一般的だった。しかし、この方法では層の内部まで均一に熱を通すのが難しく、見た目は整っていても食感に課題があった。今回の研究では、複数の波長を持つレーザー光を用いて、造形した各層をミクロン単位で加熱。波長や照射時間を変えることで、素材ごとに異なる火の通り方を再現し、噛みごこちや弾力、しっとり感などを自在に調整できるようになった。

研究チームはこの手法を用いて、14種類の素材を組み合わせた三皿のコース料理を3Dプリントで完成させた。肉料理、付け合わせ、デザートといった異なる食材を一体的にプリントしながら、層ごとに最適な火入れを行うことで、食感と風味のバランスを高度に再現。研究チームの代表であるジョナサン・デイヴィッド・ブルティンガー氏は「料理をソフトウェアで個別化することは、食の自然な進化です」と語り、日常的な食事の中にプログラム的な設計思想を取り入れる未来像を描いた。

この技術が注目される理由は、その応用範囲の広さにある。たとえば植物由来の代替肉は、栄養価や環境負荷の点で優れている一方、食感や風味の再現性に課題がある。レーザー調理を組み合わせた3Dプリント技術は、この弱点を克服し、プラントベース食品を「おいしい選択肢」として定着させる可能性を持つ。また、畜産に伴う温室効果ガスの排出削減や水資源の節約、さらに健康面での脂質・塩分摂取の改善にもつながり、社会的な波及効果も大きい。
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