ジェームズダイソンアワード2015国際最優秀賞PCB基板3Dプリンタ

僅か数分でプリント基板を作る3DプリンタVoltera V-Oneがジェームズダイソンアワード2015を受賞

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ダイソン株式会社(東京都千代田区:代表取締役社長麻野信弘、以下ダイソン)が提携している登録慈善教育団体・ジェームズダイソン財団は、同財団が主催する国際エンジニアリングアワード「ジェームズダイソンアワード2015」(James Dyson Award、以下JDA)の国際最優秀賞者を発表。今年の受賞作品にプリント基板(PCB)を3Dプリントする器械『Voltera V-One(ヴォルテラヴィーワン)』が選ばれました。

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プリント基板(PCB)とは、電子部品を固定して配線するための基板で、スマートフォンから生物医学装置まで様々な電子機器に使用されています。しかし一方で、この分野に取り組むエンジニアや発明家、学生たちが新たな電子機器の研究開発で直面するのが、PCBのプロトタイプをいかに低価格・短時間で製作するかという問題です。一般的に、プロトタイプ製作のプロセスには時間と費用が重みがちです。PCBの設計では、たとえ微修正であっても設計を変更するたびに製作プロセスをゼロからやり直さねばならないため、その都度、外部の製作所に回路図を送る必要があります。
3Dプリント技術により劇的な技術革新が実現した今日、PCBプロトタイプの製作で無駄な時間を費やすのはもう時代遅れです。さらにプロトタイプの製作にかかる無駄なコストが、新たなPCBの開発に取り組む研究者たちの情熱に水を差すことも考えられます。新たなテクノロジーで市場進出を狙う中小企業やベンチャー企業もさることながら、ビジネスの視点から考えても、プロトタイプの製作が生産性の低下を招き、事業展開の足かせとなることが懸念されます。

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そこで、この問題の解決に挑んだのがカナダのウォータールー大学で電子機械工学を専攻する4人の学生たちです。学生チームが開発した「Voltera V-One」は、ソフトで設計した回路図からわずか数分でPCBのプロトタイプを作製できるノートPCサイズの3Dプリンタです。スケジュールの遅れも、PCB製作所に発送する無駄なコストも、もう気にする必要はありません。この画期的な発明により、Voltera V-One開発チームは、ジェームズダイソンアワード2015の国際最優秀を受賞しました。
Voltera V-Oneは、3Dプリント技術と同じラピッド・プロトタイピングの考え方に基づいて開発されました。導電性と絶縁性のインクを使い分けることにより2層基板を描出し、さらにディスペンサーから抽出したペースト状のハンダ(半田)と550ワットのヒーターで加熱するリフロー機能により、基板上に自在に部品を追加できます。
Voltera V-One開発チームのアルロイアルメイダ氏は次のように述べています。「Voltera社を立ち上げた当初は、専門家に相談するたびに、目標が高すぎる、PCBのプロトタイプ製作を効率化するツールなんて実現不可能だと言われました。だからこそ絶対に実現してみせる!という気持ちで取り組みました。」

3Dプリンタによる積層造形は、ものづくりに対する考え方はもとより、限られた製作者にしか手が届かなかった製造工程の常識を根本からくつがえしました。Voltera V-Oneにより、同じ技術革新が電子機器の分野にも訪れることは確実です。ジェームズダイソンアワード国際最優秀賞の受賞者となったウォータールー大学の学生チームには、今後のさらなる開発資金として30,000ポンド*(約570万円)の賞金が授与されます。
パーソナル3Dプリンタの市場規模は、2008年から2011年の間にi年345%と大きく成長しており、一般向け3Dプリンタについても2018年までにii現在の10倍規模に拡大することが予想されています。しかし3Dプリンタが「メイカーズムーブメント」を助長した一方で、3Dプリンタの収益の4分の3は、プロトタイピングに予算がさける一般企業が占有するものと見られています。
VolteraV-One開発チームのヘスース・ソサヤ氏は言います。「Volteraは現在、重要な時期を迎えています。部品製造が始まり、更なる検証テストを私たちのラボでも始めます。ジェームズダイソンアワードの賞金として授与された30,000ポンドは、こうした生産機能の拡大や検証テストの強化に多いに役立てていきたいと思います。」
更にジェームズダイソンは次のようにコメントしています。「Voltera V-Oneは、4人の優れた大学院生チームにより開発されました。この解決策により、特に学生や小規模の事業者にとって電子機器のプロトタイプ製作が格段に容易で手軽なものになるはずです。同時に、この発明が多くの新進エンジニアたちにインスピレーションを与えてくれることを期待しています。それこそが、この賞に取り組む真の意義だと感じています。」

 

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